2018年11月22日

だしの話

四季折々の旬の食材を大切にし、素材の味を活かした「和食」。その大きな特徴のひとつが、「だし」によるうま味です。甘味・酸味・塩味・苦味とともにうま味が基本の五味といわれ、国際的にも" umami"として認知されています。おいしい和食の基本はだしにあるといっても良いでしょう。だしの種類と、簡単なだしのとり方、さらにだしガラの利用法もご紹介します。

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■うま味の発見
和食では古くから昆布やかつお節からうま味のあるだしをとっていましたが、科学的にうま味成分が発見されたのは1900年代になってから。1908年に昆布からグルタミン酸が、1913年にはかつお節からイノシン酸、1957年には椎茸からグアニル酸が、日本人の学者らによって次々と発見されました。さらにその後、舌の味蕾にグルタミン酸受容体があると判明したことによってうま味の存在が国際的にも認知されることになりました。

■だしの種類
一般的にだしの材料となるものには、昆布、かつお節、煮干し、干し椎茸などがあり、それぞれに特徴があります。

・昆布
だしに向いている昆布は、真昆布・羅臼昆布・利尻昆布・日高昆布などです。
昆布の表面の白いものはうま味成分です。使うときは、乾いたふきんで軽く汚れだけを拭き取ってください。

・かつお節
いぶして作られた荒節と、さらにカビ付けをして乾燥させ、うま味成分を増した枯節があります。荒節は削り節やだしパックなどに利用されています。本枯節はまろやかで澄んだだしがとれます。かつお節削り器で削るときは枯節を使いますが、枯れの具合で硬さが違い、枯れが進むほど硬くなるので削るのも大変です。
かつおの他にも、さばを使ったさば節、まぐろを使ったまぐろ節、宗田がつおを使った宗田節などがあります。

・煮干し
煮干しは、主にカタクチイワシをゆでて干したもの。味噌汁のだしなどによく合います。
煮干しは酸化しやすいので、新鮮なものを選ぶようにします。ポイントは、全体の色がきれいな銀色であること、おなかが割れていないことなどです。
イワシの他、トビウオ、アジ、鮎、鯛などもだしのとれる魚です。

・干し椎茸
乾燥させることによって椎茸の中のうま味成分グアニル酸が10倍にもなり、水戻しして加熱調理した椎茸がおいしいのはもちろん、椎茸の戻し汁が良いだしになります。干し椎茸には、肉厚で丸い「冬菇(どんこ)」とカサが開いて薄い「香信(こうしん)」、その中間の「香茹(こうこ)」の3つがあります。それぞれ用途によって使い分けると良いですね。

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■手軽で本格的な水だしの取り方
インスタントの果粒だしや簡単に煮だせるだしパック、さっと加えるだけの液体だしなど、おいしくて手軽なだしがたくさんありますが、一からだしを取ってみるとその素材だけの本当のうま味が味わえます。基本は煮だすやり方ですが、手間のかからない水だしもおすすめです。
水だしの方法は、水1400ccにかつお節30gと切り込みを入れた昆布10cm×2枚を入れ、一晩冷蔵庫に置くだけ。冷蔵庫から出したら、一度こします。麦茶ポットなどを使うと冷蔵庫の中でも邪魔にならず、6時間以上冷蔵保存するだけで本格的なだしが取れます。


■だしガラ活用法
だしを取った後の昆布やかつお節、捨ててしまうのはもったいないなと感じる方も多いのでは?だしを取った後のだしガラにも栄養素やうま味は残っています。ちょっとの手間でおいしい一品にしてみましょう。
昆布は細く切って佃煮に。もちろん、そこへかつお節を入れてもOK。
かつお節だけなら、フライパンでから煎りし、しょうゆとみりんで煎り付けてふりかけに。ごまやじゃこなどを入れるとさらに風味の良いふりかけになります。
煮干しは、水分をキッチンペーパーなどで拭き取ってから、油でカリッと揚げて塩を振り、簡単おつまみにも。
最後までおいしくいただきましょう!

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