十二支と方位

中国や日本には、すべてのものが「木・火・土・金・水」から成り、それぞれが「陽」=兄(え)と、「陰」=弟(と)に分かれるという考え方があり、これを「陰陽五行説」といいます。五行に兄弟(えと・干支)を掛け合わせると5×2=10の組み合わせができます。これを十干(じっかん)といいます。

十干は、甲(きのえ)乙(きのと)丙(ひのえ)丁(ひのと)戊(つちのえ)己(つちのと)庚(かのえ)辛(かのと)壬(みずのえ)癸(みずのと)の10個の記号です。
それぞれ、甲(きのえ=木の兄)、乙(きのと=木の弟)、丙(ひのえ=火の兄)......など五行と組み合わされた呼び名になっていますね。
この十干は十二支と組み合わせて、60年で一巡します。60歳を「還暦」といって祝うのもこのためです。

十二支は、おなじみの「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12個の記号です。初めは月の記号として使われていましたが、やがて年や日、時間、方位にも割り当てられるようになり、正午・午前・午後といった言葉も生まれました。

【豆知識】

十二支と動物 ~なぜねずみが1番なの?

「子、丑、寅......」の十二支には動物が当てはめられていますが、もともと十二支は動物とは無関係のものでした。しかし、十二支を覚えやすくするために、その字に動物が当てはめられ、親しまれるようになったのです。その成立ちには様々な話がありますが、昔から語り継がれてきた民話をご紹介します。

十二支のおはなし

昔々、ある暮れのこと。神様が動物たちに「元日の朝、私のところへ出掛けてきなさい。最初に到着したものから12番目のものまでを、1年交代でその年の大将にする」と御触れを出しました。動物たちは、我こそが1番になるぞとはりきっておりました。

ところがネコは話を聞き漏らし、ネズミにたずねました。するとネズミはわざと1日遅れの日付を教えてやり、ネコはそれを真に受けて帰っていきました。

元日となり、足の遅いウシが誰よりも早く出発すると、牛小屋の天井でこれを見ていたネズミが、こっそりウシの背中に飛び乗りました。そんなこととは知らないウシが神様の家に行ってみると、夜明け前でまだ誰も来ておらず門も閉まったまま。我こそが1番だとウシは喜び、門が開くのを待っていました。

やがて日が昇って門が開いたとたん、ウシの背中からネズミが飛び降り、ネズミが1番になってしまいました。残念ながらウシは2番となり、それからトラ、ウサギ、タツ、ヘビ、ウマ、ヒツジ、サル、トリ、イヌ、イノシシの順で到着しました。1日遅れで出掛けたネコは番外となり、それ以来ネズミを恨んで追いまわすようになりました。

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