年賀状

年始の挨拶を簡略化したのが年賀はがき。年頭に祝賀を交わすために、当初は元日に出向いて年賀の挨拶をしていましたが、挨拶に行けない人は手紙を送るようになり、やがて現在のような年賀状を送る習慣となりました。
その歴史は郵便制度が登場した明治時代からですから、もう百年以上になります。電話やメールで手軽に連絡ができる時代でも、手間暇かけて届いた年賀状には、ひと味違う喜びがあります。せっかく送るなら、年賀状作りを楽しんで、相手に真心が届く素敵な年賀状にしたいですね。

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年賀状は相手に応じて3タイプ

相手に応じて言葉使いや服装を気遣うように年賀状も相手によって使い分けると、上手にアプローチできます。大きく分けて次の3つのタイプに分けて考えてみましょう。

・フォーマルタイプ:仕事関係や目上の方向き
・カジュアルタイプ:プライベートで親しい方向き
・フリータイプ :フォーマルとカジュアルの中間

フォーマルタイプは格調高い伝統柄や、ハイセンスなオリジナルデザインなど、くだけすぎない範囲で楽しむのがポイント。
カジュアルタイプは、自分の個性や好みを生かして自由に楽しみましょう。
版画シリーズ、4コマ漫画シリーズなどのように、毎年シリーズ化しても印象に残る年賀状になりますし、昔懐かしいイモ判のように、自作の消しゴム判をペタンと押すだけでも味のある年賀状になります。デジカメの写真を取り込んで、画像加工ソフトで手を加えることも簡単にできるようになりました。シールやスタンプなどの年賀状作成アイテムもたくさん市販されていますから、活用しない手はありません。

フリータイプは、フォーマルタイプではかしこまり過ぎているし、カジュアルタイプではくだけ過ぎという場合や、印刷文や絵柄の内容がそぐわない場合に(家族ネタはNG、この話題はNGなど)、無難に使えるものを用意しておくと重宝します。

全て手作りするもよし、デジタル素材を組み合わせるもよし、既製品を使うもよし。タイプ別に目的がはっきりしているので、作成作業もスムーズに進みます。

賀詞の選び方

年賀状には必ず賀詞を書きます。賀詞とは、年賀状に限らず、祝いの意を表すことばをさします。年賀状には、年始の挨拶としてふさわしい賀詞を選びましょう。

【文章の賀詞】
明けましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
謹んで新春のご祝詞を申し上げます

【4文字の賀詞】と意味
謹賀新年:謹んで新年をお祝い申し上げます
謹賀新春:謹んで新しい年をお祝い申し上げます
恭賀新年:うやうやしく新年をお祝い申し上げます
恭賀新春:うやうやしく新しい年をお祝い申し上げます
敬頌新禧(けいしょうしんき):うやうやしく新年のよろこびをおたたえ申し上げます

【2文字の賀詞】と意味
賀正:正月を祝う
賀春:新年を祝う
頌春(しょうしゅん):新年をたたえる
迎春:新年を迎える
慶春:新年をよろこぶ
寿春:新年を祝う
初春:新しい年、年の初め
新春:新しい年

【1文字の賀詞】と意味
寿:めでたい
福:幸せ
賀:祝い
春:新年、年の初め
禧:よろこび

「賀」が含まれる賀詞は相手に対してお祝いを伝える感じになり、「春」がつく賀詞は春になりましたねという感じになります。「春」が新年をあらわすのは、昔は立春ごろに元日が巡ってきたからです。

【英語の賀詞】と意味
Happy New Year : 新年おめでとう
※ A Happy New Year : よいお年を (年が明ける前に使うので、年賀状ではAをつけません)

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フォーマルタイプの場合の賀詞は?

賀詞は、礼儀にかなうよう「謹賀新年」のような4文字の賀詞か、「謹んで新春のご祝詞を申し上げます」などを使います。
もともと、賀詞の基本は「謹賀新年」「恭賀新年」「敬頌新禧」などの4文字からなるもので、「謹(謹んで。相手を尊ぶ)」「恭(うやうやしく。礼儀正しく丁寧)」「敬(尊んで礼をつくす)」「頌(ほめたたえる)」といった相手の方への敬意と丁寧な気持ちを表す語が入ることで、礼儀にかなった挨拶の敬語になります。
定型文であっても自分らしい文言を選ぶのがポイントです。

カジュアルタイプの場合の賀詞は?

敬語や丁寧語を基本にしつつ、自分の言葉を綴りましょう。ユーモアを交えて近況報告を盛り込んだり、家族一人一人のセリフのように構成しても楽しいでしょう。賀詞は、相手を選ばず使える「明けましておめでとうございます」「Happy New Year」のほか、目上の方にはそぐわない「寿」「福」のような1文字の賀詞、「賀正」「迎春」のような2文字の賀詞も使えます。

フリータイプの場合の賀詞は?

印刷文は一般的な文言にとどめておき、手書きのコメントでフォローするようにします。賀詞は、相手を選ばず使える「明けましておめでとうございます」「Happy New Year」や、目上の方向けを用いるとよいでしょう。

賀詞の重複に注意

よくありがちなのが、「迎春」「謹賀新年」などの短い賀詞と「明けましておめでとうございます」などの文章の賀詞を重複して使ってしまうこと。賀詞を使ったら、添え書き(「今年もよろしく」などの文)には賀詞を書きません。

手書きコメントを楽しみましょう

どのタイプの年賀状も、印刷文だけでは味気ないものです。手書きのコメントがあるかないかでは印象が全然違います。
あらかじめコメント欄を設けて、ここに書くと想定して作成しておきましょう。短文にしたいなら、コメントスペースを小さめにしておくと気楽に取り組め、見た目のバランスもよくなります。手書きのコメントは年賀状の総仕上げであり、相手にとっても楽しみのひとつ。相手の心に届いたら、ますます縁(えにし)が深まることでしょう。

年賀状の返事

年賀状をいただいたのに、こちらからはお送りしていないときは、すぐに返礼はがきを送りましょう。目上の方へは返礼というより、遅ればせであっても年賀状を出しますが、7日を過ぎて返事を出すときは、年賀状ではなく「寒中見舞い」として送ります。

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