雪の名前

雪は日本の冬の風物。スキーやスノボ、雪まつり以外にも雪の楽しみ方があります。それは、感性豊かな「雪の名前」にふれて、冬の風情を楽しむこと。 
四季折々の美しさを「雪月花」というように、雪には独特の魅力があり、それを表す言葉もたくさん生まれました。言葉ひとつで雪の世界が広がります。

雪イメージ01

降る時期によって変わる雪の名前

・初めて降る雪は「初雪」
・例年より早く降る雪は「早雪」
・その冬初めて山々に積もる雪は「初冠雪」
・冬に別れを告げる最後の雪は「終雪」(しゅうせつ)
「雪の別れ」「雪の果て」「雪の名残」ともいわれます。
・もうすぐ春という頃に名残を惜しむように降る雪は「名残雪」(なごりゆき)
有名な歌もありますね。
・春になっても残る雪は「残雪」「去年の雪」(こぞのゆき)
・なかなか溶けずに残る雪は「根雪」
・1年中溶けない雪は「万年雪」

雪の状態を表した名前

・雪の美しさを表す「白雪」「雪花」(せっか)「深雪」(みゆき)
・細やかに降る雪のことを「細雪」(ささめゆき)
谷崎潤一郎の小説や、歌謡曲にもありますね。
・粉のように細やかな雪のことを「粉雪」「米雪」(こごめゆき)
スキーをするならこんなパウダー・スノーがよいですね。「粉雪」というヒット曲もありました。
・灰のようにふわふわ舞う雪は「灰雪」
・うっすらと積もってすぐ溶けてしまう雪は「泡雪」「淡雪」「沫雪」(あわゆき)
・比較的あたたかい時期に降る、玉の形をした雪を「玉雪」
・雪のひとひらが大きな雪を「綿雪」「牡丹雪」「花びら雪」
ひとひらの雪のことを雪片(せっぺん)といいます。
・玉雪や綿雪がややとけている状態を「餅雪」
・餅雪よりも水分の多い雪は「べた雪」「濡れ雪」
・べた雪と雨の中間は「水雪」
・風上の降雪地から、風にのって流されてきた雪は「風花」

積もった様子を表した名前や言葉

・雪が降り積もった様子を「銀世界」「銀雪」「雪化粧」
・積もったばかりの雪は「新雪」
・おめでたいときの雪は「瑞雪」
・とけたり凍ったりを繰り返してできた粗い雪は「粗目雪」(ざらめゆき)
・一度にたくさん降り積もると「どか雪」
・積もった雪で薄明るくなる様子を「雪明かり」
・雪が枝や葉に積もっている様子を「雪持ち」
・樹木などに積もった雪の様子は「綿帽子」
・常緑の松の枝葉に積もった雪を「松の雪」
・枝や屋根などから落ちる雪は「垂り雪」(しずりゆき)

雪イメージ02

ひとつひとつの雪の名前をみているだけで、その情景が浮かんできます。
雪は降り方を表す言葉も多彩で、絶え間なく降る様子は「こんこん」、ひるがえりながら降る様子は「ちらちら」、軽やかに降る様子は「はらはら」、空中に漂う様子は「ふわりと」「ふわっと」などと表現し、木の枝や屋根から落ちる雪は「どさっ」。

「豪雪」では風情などといってはいられないかも知れませんが、雪は冬の使者。雪の降る様子に美しい名前や言葉を与えた日本人の感性を、私たちも大切にしたいですね。
※参考文献『日本語使いさばき辞典』(あすとろ出版)

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