食器は毎日必ず使うもの。お客様へのおもてなしとなると器にも気を使うものですが、普段の食卓でも、器使いを楽しんでみませんか。いつも使っている器も使い方ひとつで食卓がセンスアップし、お料理も見栄え良く、おいしくいただけます。毎日の食事がもっと楽しくなるでしょう。特に和食器はさまざまな組み合わせができるので、器選びの楽しみが広がります。
■洋食と和食の違い
洋食と和食では、器の使い方に違いがあります。基本的に洋食は器を置いたまま食べますが、和食は器を持って食べます。器を持ったときの手触りやぬくもりまで楽しむのが日本文化の特徴といえます。
子どもが小さい頃から自分用のお茶碗を使うことや、本物の陶磁器を使うことも、日本人としての豊かな感性を育んだり、情緒の発達に効果があります。
また、洋食器はお揃い、和食器は不揃いなのも大きな違いです。洋食器はセットで揃えておもてなしするパターンが多く、数さえあれば楽ですが、和食器は綺麗に揃える必要はなく、さまざまな器の表情を楽しむのも、食事の大切な要素なのです。
■器使いのポイントは「陰と陽」
和食器の組み合わせ方は自由といっても、それなりの統一感がないとバラバラした印象になりかねません。そこで知っておきたいのが、「陰と陽」の組み合わせ方。日陰と日向のようなイメージで、食器を組み合わせてみる考え方です。
【陰の食器】
四角など角ばった形の器。藍色、黒、深緑など暗い色の器。
【陽の器】
丸や楕円など丸みのある形の器。生成りや茶系など明るい色の器。
こうした陰と陽の器がバランスよく組み合わせてあると、単調にならずセンスのいい食卓になります。どちらかに偏ってしまうと、きちっとまとまりすぎて堅苦しく、面白みに欠けてしまいます。
例えば、生成りの器の中に焦げ茶の焼き締めの器を置いたら、グッと引き締まって印象的になった・・・、まさにそれが、陰と陽の組み合わせによる効果です。
■器の正面を知る
器の正面を知って正しく置くことも大切です。決まりに縛られる必要はありませんが、正面を知った上で洒落てみましょう。大皿などは、主賓に正面を向けて置きます。
料理を盛りつけるときも、正面からの見栄えが一番良くなるように盛りつけます。
★正面の判別の仕方は器によっていろいろです。参考にしてください。
・具象的な絵柄がある皿
何が書かれているかわかれば簡単ですが、草だと思ったら枝垂れ柳で逆さまだったということもあるので要注意。
・抽象的な絵柄がある皿
絵柄の重心が下にくるように置くと落ち着きます。例えば、三角なら底辺を下にします。
・葉形皿、魚形皿
葉先や頭が左、根本や尾が右になるように置きます。
・つまみや折りがある器
つまむところがはっきりしていたり、角が折ってある皿は、その部分を右にします。
日本の道具は右利きを基準に考えます。
・とじ目のある器
「丸手前、角向」という決まりがあり、丸い皿はとじ目を手前に、四角い皿はとじ目を向こうにして置きます。
・木目がある器
木目はお客様と平行に置きます。年輪の芯がお客様側になるよう、木目の粗い方を手前に、細かい方を向こうにします。
・銘の向き
器の裏の銘の向きで正しい方向がわかるといわれていますが、いつも当てはまるわけではありません。銘は参考程度にします。
ご家庭にある器を見なおして、食卓を素敵に演出してみてはいかがでしょうか。