2018年06月06日

風の名前

日本人は自然現象に名前を付ける名人。風には「疾風(はやて)」「つむじ風」など、漁師や農家の人がつけた名が2000以上もあります。四季折々に吹く風の名前ばかりでなく、吹き方によってその名前もさまざま。まるでいろいろな役を演じ分ける役者のように多彩です。
あなたは、風の名前をいくつご存知ですか?

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■四季折々の風の名前
地方によってもいろいろな名前があると思いますが、よく呼ばれる名前を挙げてみます。

【春の風】

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・春一番 ・・・ 春の初め、その年に初めて吹く強い南風
・東風(こち) ・・・ 菅原道真の歌により春を告げる風として有名※
・貝寄せ ・・・ 春先に砂浜に貝を運ぶ風

※菅原道真が京都から大宰府へ左遷されるとき、庭の梅に「東風吹かば にほいおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」と詠んで別れを惜しみました。

【夏の風】

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・薫風(くんぷう) ・・・ 初夏の新緑が香るような風。
・青田風(あおたかぜ) ・・・ 青々とした水田の上を吹きわたる風。
・盆東風(ぼんごち) ・・・ 夏の終わりに吹く東風。暴風雨の前兆。

【秋の風】

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・野分(のわき) ・・・ 野の草を分けて吹きすさぶ強風。台風を含む。
・いなさ ・・・ 南寄りの暴風。大雨を伴い、風水害や海難を起こす恐ろしい風。
・金風(きんぷう) ・・・ 秋風のこと。稲穂をゆらす風。
・雁渡し(かりわたし) ・・・ 雁が渡ってくる頃の北風。

【冬の風】

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・木枯らし ・・・ 初冬に吹く冷たい北風。木の葉を吹き落してしまうことに由来。
・おろし ・・・ 冬山を超えて吹き降りる冷たい強風。六甲おろしなどの山の名前が付く。
・空風(からっかぜ) ・・・ 冬山を超えて吹きつける下降気流で、冷たく乾いた風。関東・東海地方の冬の季節風。


■風の名前が表わすもの
台風と野分。同じ現象なのに印象が違います。表情豊かな風に、様々な言葉があてはめられています。

・荒れ狂う怒りの主
「嵐」「暴風」は、まさに怒りの主。荒れ狂う風を「狂風」「烈風」などといい、突然に吹く「天狗風(てんぐかぜ)」や烈しい「疾風(はやて)」は、「悪風(あくふう)」となって災害をもたらすこともあります。
タイフーンに漢字を当てはめた「台風」は、その痛々しい爪跡を想像させますが、昔ながらの「野分」には、自然と共存するかのような印象があります。

・優しく爽やかな表情
荒々しさが消え和やかに吹くと「和風(わふう)」になり、そよそよと吹く「微風(そよかぜ)」や清らかな「清風(せいふう)」は風が微笑んでいるようです。
さっとひと吹きする「一陣の風」や、強くても気持ちのいい「雄風(ゆうふう)」には凛とした姿が見えるでしょう。

・風の色は何色?
草木が動いて風を感じられることを「風の色」といい、吹いている様子はないけれど、秋の気配を感じるようなときを「色なき風」と表します。
「南風(はえ)」は夏の季節風ですが、梅雨時のどんより曇った日に吹くと「黒南風(くろはえ)」で、梅雨が明ければ「白南風(しろはえ)」です。
青葉の上を吹き渡る「緑風」も、強く吹けば「青嵐(せいらん)」となります。

・進むべき道に吹く風
船の進むべき方向に吹く「順風」「追い風」「時津風(ときつかぜ)」、その反対は「逆風」「向い風」「仇の風(あだのかぜ)」。
風は人生にも吹いているようです。

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