美しい女性を花に例えて表現することがあります。中でも有名なのは、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉です。なぜ、この花が選ばれたのでしょうか?
■立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
・立てば芍薬
芍薬は、すらりと伸びた茎の先端に美しい花を咲かせます。その香りもたおやかなので、姿も香りも、まさにすらっとした美しい女性そのものといえます。
フランスでは、しなやかでさわやかな香りのするワインを「芍薬のような香り」というそうです。
・座れば牡丹
牡丹も芍薬も同じボタン科なので、花自体はよく似ていますが、芍薬は花で牡丹は木です。その違いから、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつけるため、まるで座っているかのように見え、鑑賞するときも座って鑑賞したほうがきれいに見えるのです。
中国では花の王と呼ばれ、華やかさの象徴とされています。
・歩く姿は百合の花
百合は、しなやかな茎の先にややうつむき加減に花が咲くので、風を受けて揺れる様子を女性が優美に歩く姿に例えています。
その甘い香りは香水としても人気があります。
さらにこの3つの花はリレーするかのように順番に咲いていきます。
牡丹は4月末から5月の初め、芍薬が5月中旬から6月末、そして百合が6月から8月。それは座っていた美人が、すっと立ち上がり、歩き出すという流れそのものです。
容姿だけでなく、立ち居振舞いも美しい、そんな美人を表しているようです。
■柳のように美しい人
美しい人の例えに「柳」も多く使われます。
細くしなやかな腰つきを「柳腰(やなぎごし)」、細面の美人を「柳顔(やなぎがお)」、柳の葉のように細くて美しい眉を「柳眉(りゅうび)」、長くて美しい髪を「柳髪(やなぎがみ)」といいます。なんとなく、竹久夢二が描く美人が思い浮かんできます。
■「大和撫子」のなでしこパワー
日本女性の代名詞である「大和撫子」は、河原などに咲く日本原産の河原撫子のこと。可憐な花が愛しい子どものようで「撫でし子」となり、中国の唐撫子(からなでしこ)と区別するため大和撫子と呼ばれ、その清楚で慎ましい姿を日本女性に重ねました。昔から愛されてきた花で、秋の七草のひとつです。
今、なでしこといえば「なでしこジャパン」が思い浮びます。日本サッカー協会の「なでしこvision」では、「なでしこ」らしさについて、次の4つをあげています。
「ひたむき」「芯が強い」「明るい」「礼儀正しい」
可憐なだけではない、強さも秘めたところが「大和撫子」らしさなのかもしれませんね。
2018年06月06日