「時代祭」は葵祭、祇園祭とともに京都三大祭の一つとして知られています。
平安神宮創建を祝い、明治28年に第1回目が開催されました。葵祭が約1400年前、祇園祭が約1100年前から続く中、まだ始まって120年ほどの比較的新しい祭りです。
京都が都であった千余年にわたる時代を、現代に再現した時代風俗行列が祭りの目玉。綿密な時代考証を重ねられた衣装に身を包んだ歴史上の人物が、時代ごとに進んでいく豪華絢爛な行列はまさに"生きた時代絵巻"です。京都というだけでなく日本の歴史を偲ばせます。
■時代祭の由来
明治に入り、都が東京に移ると京都は活力を失ってしまいました。再び京都の町に活気を呼び戻そうと、桓武天皇が長岡京から平安京に都を移された平安遷都1100年目にあたる1895(明治28)年に、桓武天皇を祭神とする平安神宮が創建されました。
これを記念して盛大な記念祭が挙行され、記念祭の後、平安遷都から明治に至る千余年の文物風俗を模した時代風俗行列が行われたのが「時代祭」の始まりです。
翌年からは、「平安神宮のご祭神に京都の町の繁栄をご覧いただく」という趣旨で、平安遷都が行われた"京都の誕生日"ともいえる10月22日に行われています。
平安神宮創建とともに組織されたのが「平安講社」です。平安神宮の建築物や神苑、大祭の保存のために作られた京都全市域からなる市民組織で、時代祭行列は、この「平安講社」(全10社)によって運営されています。
■祭りのみどころ「時代風俗行列」
祭りは10月15日の参役宜状授与祭(さんやくせんじょうじゅよさい)、21日の前日祭、22日の神幸祭(しんこうさい)、行在所祭(あんざいしょさい)、還幸祭(かんこうさい)、23日の後日祭と続きますが、見どころは22日の時代風俗行列です。
時代風俗行列は、ご鳳輦(ほうれん)に乗った桓武天皇と孝明天皇のご神霊のお供として、京都御所を出発し平安神宮へ還るルートで京都の町を巡ります。
行列の順序は、新しい時代の明治維新から順次古い時代にさかのぼっていき、最後はご鳳輦の神幸列、および弓箭組列(きゅうせんくみれつ)の順で編成されています。明治維新、江戸、安土桃山、室町、吉野、鎌倉、藤原、延暦と8つの時代が20の列、牛や馬を含む総勢約2000名で構成され、長さは約2km、かかる時間は約3時間にもなります。
戦国武将や各時代の姫君など、歴史上の人物がその時代の風俗とともに登場し、その衣装や、祭具、調度品などは綿密な時代考証が重ねられ、京の伝統の技をもってそれぞれの時代が細部まで再現されています。
こうした品々は1万2000点にも及び、伝統技術のすばらしさにも感動を覚えます。