「木うそ」「うそ鳥」などと呼ばれる、かわいらしい小鳥の木彫りをお互いに交換したり、新しく買い替えたりして、一年の幸せを願う行事が「鷽(うそ)替え」です。どんな由来があるのでしょうか。
■「鷽替え神事」とは
「鷽替え」は、太宰府天満宮が発祥といわれています。1月7日の夕方酉の刻(午後6時)に、「替えましょ、替えましょ」の掛け声のもと、参拝者が手にした「木うそ」をお互いに交換し合います。「鷽」が「嘘」に通じることから、これまでの災いや凶事を嘘にして今年の吉に取り替えるという意味があります。
「木うそ」とは「鷽」という鳥をかたどった木彫りのことです。菅原道真が大宰府に左遷された翌年の1月7日、神事の最中、寒中にも関わらずなぜか無数の蜂に襲われた時、一群の鷽が飛来し、蜂を食い尽くして人々を救ったと伝えられており、このことから鷽は道真公ゆかりの鳥とされ、「鷽替え神事」が行われるようになりました。
■各地の「鷽替え神事」
江戸時代には、菅原道真公ゆかりの天満宮や天神社に多くの人が集まり、木うそを交換する習わしがありました。今も1月25日の初天神の日に行われています(※4月や9月など開催日が異なるところもあります)。
都内では、亀戸天神社、湯島天満宮、五條天神社などがあります(※亀戸天神社は1月24日・25日の2日間。お守りは「うそ鳥」と呼ばれています)。
もともとは、手持ちの木うそを交換し合うものでしたが、現在では古い木うそを神社にお納めし、新しい木うそと取り替えるところが多くなりました。木うそは凶事を嘘にして幸運に替える開運、除災招福のお守りとして多くの参拝者に授与されており、授与された木うそを参拝者同士で交換してから持ち帰るところもあります。
■鷽ってどんな鳥?
ところで、鷽とはどんな鳥なのでしょうか。スズメ目アトリ科の鳥で、大きさはスズメより少し大きいくらい。頭と尾が黒く、背や腹はグレーとシックですが、オスは喉もとが美しい紅色をしています。「ウソ」という名前は口笛を意味する古語からきているといわれます。鳴き声が口笛のように聞こえるからだそうです。
鷽をかたどった木彫りは開運のお守りとしてだけではなく、そのかわいい形でも人気があります。それぞれの神社で、少しずつ姿かたちや趣きが違うのもおもしろいものです。
2019年01月18日