7月13日から5日間が七十二候の「蓮始開(はすはじめてひらく)」。蓮の花が咲き始める頃という意味ですが、蓮の花は7月~8月にかけて咲く夏の花。仏教では、蓮は泥の中に生まれても汚れなく清らかに咲くことから「清浄無比の花」と尊ばれています。
多くの仏典に「蓮華(れんげ)」の名で登場し、仏像の台座にもその形がよく使われています。お盆の盆棚にも蓮の花を模した盆花を飾り、蓮の葉はご先祖様や仏様にお供え物を捧げるための器として使われます。
また、7月15日はお盆。一般的には8月半ばに月遅れで行いますが、都市部では7月という家も多いのです。お盆は、先祖の霊を迎える日で、13日は迎え盆(お盆の入り)にあたります。盆棚を設え、お墓参りに行き、その帰りに玄関で迎え火を焚いて祖先の霊をお迎えします。そして、お盆の間ゆっくりと過ごしたら、16日には精霊送りで霊をお送りします。8月のお盆の精霊送りには盛大な行事が多く、京都の「五山送り火」や奈良の「大文字送り火」、長崎の「精霊流し」などは有名です。
さて、お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。ちょっと日本語らしくないですね。それもそのはず、「盂蘭盆」はインドのサンスクリット語の「ウラバンナ(逆さ吊り)」、ペルシャ語の「ウラヴァン(霊魂)」からきた言葉だといわれています。「逆さ吊り」が語源といわれると驚きますが、次のような由来が伝えられています。
お釈迦様の弟子のひとり、目連尊者(もくれんそんじゃ)は神通力によって亡き母が地獄に落ち、逆さ吊りにされて苦しんでいると知りました。どうしたら母親を救えるか、お釈迦様に相談したところ、お釈迦様は「夏の修行が終わった7月15日に僧侶を招き、多くの供物をささげて供養すれば母を救うことができるであろう」といわれました。目連尊者がその教えのままにしたところ、その功徳によって母親は極楽往生が遂げられたということから、精霊を供養する盂蘭盆会の行事が生まれたといわれています。
この盂蘭盆会の行事が日本の祖霊信仰と融合し、日本独自のお盆の風習がつくられていきました。
「盆と正月」という言葉があるように、お盆はお正月と同様にとても大切な行事です。さまざま風習や由来についてはこちらをご覧ください。
【暮らしを彩る年中行事】迎え盆と精霊送り
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