七十二候では、7月28日から「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」になります。土がじっとりとして蒸し暑くなる頃。蒸し暑いことを「溽暑(じょくしょ)」といいます。
まさに今の暑さを表していますね。暑さに負けないために「暑気払い」をして、元気に過ごしましょう。
暑気払いとは、その名の通り「暑さをうち払う」ために、身体に溜まった熱気をとり除き、気力を回復して「元気」になろうというものです。昔は酒や薬、食べ物などのほか、薬湯に入ったり、行水や川遊びをしたりして暑気払いをしていましたが、現在では「暑気払い」といえばもっぱら飲み会をさすことが多くなりました。
「暑気払い」をする時、何はともあれ冷たい生ビールで乾杯!という方が多いと思います。1日の仕事を終えて、冷えたビールをグイッと飲むのは最高ですね。のどの渇きをいやし、身体を冷やし、利尿作用で不要なものを体外に排出してくれるという利点もあります。
ただし、飲み過ぎは禁物。たくさん飲むとトイレが近くなって、水分を補給しているつもりが逆に水分不足になり、さらにアルコールが分解されるエネルギーによって暑くなり、汗もたくさんかきます。酔っぱらってそのまま眠ってしまうと脱水状態になり、心筋梗塞や脳梗塞の引き鉄になることもあります。ビールに限らず飲み過ぎないことが一番ですが、水を飲むのも忘れないようにしましょう。
さらにおつまみにも旬の味を取り入れて、健康的に暑気払いをしたいもの。
おつまみの定番「枝豆」は、大豆をまだ青いうちに収穫したもの。大豆は豆ですが、枝豆は野菜に分類されます。大豆にはないカロテンやビタミンCが豊富に含まれ、しかも大豆の栄養成分である良質のたんぱく質や抗酸化成分も含んでいます。ビールに枝豆は栄養的にも良い組み合わせなのですね。
夏が旬の「西瓜(すいか)」、「胡瓜(きゅうり)」、「冬瓜(とうがん)」、「苦瓜(にがうり=ゴーヤ)」、「南瓜(かぼちゃ)」などのウリ科の作物は、栄養価が高く、体力が衰える夏場に効果的。西瓜や胡瓜は身体の熱を下げ、利尿作用で余分な水分を出してくれます。西瓜はおつまみにはなりませんが食後のデザートにもいいですね。冬瓜はむくみ取りに良いとされ、苦瓜はビタミンCが豊富で、夏バテ防止にもぴったり。南瓜は栄養豊富で糖質も多いのが特徴です。また、冬瓜や南瓜は、冬まで保存し健康維持に役立てることもできます。
身体を冷やす作用のある「なす」や、疲労回復に役立つ「トマト」も今がおいしい季節。
身体のバランスをとるには、冷やすだけではなく、温めることも大事だとされているので、煮たり、炒めたりして温かい料理でいただくのがポイントです。
高温多湿の日本の夏を、昔の人はこの他にもさまざまな食べ物で乗り切ってきました。詳しくはこちらをご覧ください。
【季節のめぐりと暦】七十二候
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【四季と行事食】夏野菜
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【四季と行事食】昔の人のスタミナ源
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【四季と行事食】かき氷
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【食の歳時記・旬の味】夏を乗り切る薬味の知恵
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2015年07月27日