9月23日は二十四節気の「秋分」。昼夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に日が短くなり、秋の夜長に向かいます。読書の秋や芸術の秋、音楽の秋など、趣味に没頭するのに良いシーズンですね。また秋分の日は、雑節の「彼岸」の中日でもあり「祖先を敬い、亡くなった人をしのぶ日」として国民の祝日になっています。秋の彼岸は、春の彼岸に対して「後の彼岸」「秋彼岸」とも呼ばれます。
また、七十二候では「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」になります。雷が鳴らなくなる頃という意味で、春分に始まり夏の間鳴り響いた雷も、鳴りをひそめます。
秋の彼岸の頃に咲く花といえば「彼岸花」。葉のない茎がすーっと伸びた先にまるで花火のような真っ赤な花が咲きます。別名は「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」で、サンスクリット語で「天界に咲く花」を意味します。おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる、という仏教の経典からついた名前です。
また、葉のない茎の先に花が付く彼岸花は、ふつうの植物とはかなり違う成長をします。秋の彼岸が近づく頃、いきなり茎が伸びてきて鮮やかな花を咲かせ、そして一週間ほどして花が終わり茎も枯れてしまうと、今度は葉が伸びてきて緑のまま冬越しをします。春にかけて球根に栄養をため、夏が近づくと葉は枯れてしまい休眠期に入り、やがて秋雨の後、彼岸の頃にまた一気に花を咲かせます。
つまり、花のある時に葉はなく、葉のある時に花はない、そんな不思議な植物なのです。このような特徴から、「葉見ず花見ず(はみずはなみず)」と呼ばれています。
球根には毒がありますが、昔は水にさらして毒を抜き、万一の時の非常食にもなったそうです。彼岸花には、鮮やかな赤だけでなく白や黄色いものもありますが、いずれも根のところに毒をもっているので注意してください。
関東近郊の彼岸花の名所といえば埼玉県日高市の巾着田。雑木林の中に500万本以上の彼岸花が群生し、深紅に染まった様子は圧巻で、今がちょうど見ごろとのことです。お出かけになってみてはいかがでしょうか。
【季節のめぐりと暦】二十四節気
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2015年09月22日