日々の便り

2015年12月16日

女の子の健やかな成長を願う「羽子板」

12月17日から、七十二候では「鱖魚群(さけのうおむらがる)」です。鮭が群がって川を上る頃。川で生まれた鮭は、海を回遊して大きく育ち、産卵のため故郷の川へ帰ります。北国では、鮭の遡上は冬の風物詩。命の神秘も感じます。

ところで、12月も半ばを過ぎると各地で「歳の市」が行われ、正月飾りなどの正月用品、羽子板、破魔弓などの縁起物が売られます。
浅草寺では、毎年12月17日から19日の3日間「羽子板市」が開かれます。江戸時代から羽子板や破魔弓を売る店が多く出ていましたが、近年は「羽子板市」として知られるようになりました。

pixta_2228070_S.jpg

お正月の女の子の遊びとして定着していますが、羽根つきには、単なる遊び、玩具としてだけでなく厄払いの意味があります。羽根にはムクロジの実が使われ、「無患子」と書くことから子どもが患わない、羽根が病気を運ぶ蚊の天敵のトンボに似ているので、1年の厄を払いのけるとされます。打ち損じると顔に墨を塗るというのも、魔よけのおまじないです。江戸時代には、女の子の健やかな成長を祈って、初正月に羽子板を贈るようになり、今でもその風習が残っています。

18日は観音様の納めの縁日ということで、今年1年の締めくくり。多くの方がお詣りされ、羽子板市も一層賑やかなことでしょう。ずらりと並ぶあでやかな押し絵の羽子板は見ているだけでも楽しいもの。一足先にお正月気分が味わえそうです。

【暮らしの中の歳時記】羽根つきと羽子板
https://www.i-nekko.jp/matsuri_asobi/matsuri_fuyu/2018-121110.html
【食の歳時記・旬の味】秋の味覚―秋鮭
https://www.i-nekko.jp/mikaku/mikaku_aki/aki-shake/

ページトップへ