3月30日から、七十二候では「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」に入ります。冬の間は鳴りを潜めていた雷が、遠くの空でゴロゴロと鳴り始め、春の訪れを告げる頃です。「春雷(しゅんらい)」は「虫出しの雷」とも呼ばれ、冬の間隠れていた虫たちも活動し始めます。
この頃に旬を迎える魚に真鯛があります。桜が咲く頃、産卵期を迎えて脂がのり、ひときわおいしい鯛としてこの時期は「桜鯛」という名で呼ばれています。「サクラダイ」という魚もいるのですが、これはスズキ目ハタ科サクラダイ属に属している別の魚。食用で出回っているのもあまり見かけません。
お祝いごとに付き物の真鯛は、その赤い色が美しく、姿かたちが立派で味も優れているということで、古来より日本人に親しまれてきました。「古事記」や「延喜式」にも登場し、朝廷への貢物として使われていたことがうかがえます。江戸時代になると将軍家に献上するため、江戸に鯛が集められるようになりました。
「目の下一尺」といわれ、体長40~50㎝くらいのものがおいしいそうです。お刺身はもちろん、煮ても焼いてもおいしい真鯛。尾頭付きの真鯛はお祝い事でもないとあまり買うことがありませんが、お刺身なら手軽です。ひと手間かけて鯛茶漬けなどにすると、ちょっとぜいたくな気分になれます。真鯛の刺身を醤油とみりんに漬けこみ、お好みの薬味とともにごはんにのせて熱い煎茶を注ぎます。お好みでだし茶漬けにしても良いですね。
【季節のめぐりと暦】七十二候
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2016年03月29日