5月31日から七十二候では「麦秋至(むぎのときいたる)」です。
麦畑が黄金色に色づき、収穫時を迎えます。季節は梅雨にさしかかるところですが、麦の穂が実り始める頃なので、麦にとっては実りの秋。「麦秋(ばくしゅう)」は夏の季語で、黄金色の波のように穂を揺らす風を「麦の秋風」といいます。
雨に当たると穂の状態のままで発芽してしまうので、梅雨に入る前に収穫しなければなりません。
よく「五穀豊穣」ということばを聞きますが、この「五穀」とは、米、麦、あわ、豆、きび(またはひえ)などのこと。日本で昔から作られてきた大切な食料です。「五穀豊穣」とはこうした穀物が豊かに実り、たくさん収穫できるという意味です。ちなみに世界の4大穀物は、小麦、稲、トウモロコシ、大麦です。
麦は世界中で一番多く作られている穀物で、小麦、大麦、ライ麦、燕麦(えんばく)などの種類があります。日本では主に小麦と大麦(二条大麦、六条大麦)が作られており、粉末にして加工する小麦よりも、粒のまま食べる大麦の方が米とともに栽培され、主食として食べられてきた歴史があります。
日本では、麦の種撒きは秋から初冬にかけて行われます。秋撒きの麦は、寒い冬を越さないと穂を出さない性質があるからです。芽が出てある程度成長したところで行われるのが日本独特の農法である「麦踏み」。麦の上からぱらぱらと土をかけ、麦をしっかりと踏みつけてやります。踏むことで、霜柱で根が切れたり風で土が飛ばされたりするのを防ぎ、また、踏まれた刺激で寒さに強くなり、分けつ(茎が何本にも増えること)も進みます。
二毛作の農家では、麦を刈り取った後に田植えが始まり、稲刈りが終わった秋になるとまた、麦の種撒きが行われます。
【季節のめぐりと暦】七十二候
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2016年05月30日