日々の便り

2016年06月25日

七十二候「菖蒲華」。梅雨の時期に見ごろを迎える花菖蒲

6月26日から七十二候の「菖蒲華(あやめはなさく)」です。あやめの花が美しく咲き始める頃。この菖蒲(あやめ)とは、端午の節供に用いる菖蒲(しょうぶ)ではなく、花菖蒲(はなしょうぶ)のことです。花菖蒲は、アヤメ科アヤメ属の植物で、日本、朝鮮半島~シベリア東部の日本海を取り囲んだ地域の草原や湿地に自生する野生のノハナショウブを改良したもの。日本の伝統的な園芸植物といえます。

花菖蒲が、園芸植物として盛んに改良され、多くの品種が生まれたのは江戸時代。大輪から小輪、多彩な色や形の花菖蒲は人々に大人気で、江戸の堀切周辺(現在の東京都葛飾区堀切周辺)には、さまざまな品種を集めた菖蒲園がたくさんできました。現在の「堀切菖蒲園」もそのひとつで、江戸時代から観光名所として「江戸百景」にも数えられ、浮世絵師・歌川広重が錦絵にしたことでも知られます。当時は小高い築山の上から花菖蒲を眺めるのが人々の娯楽だったそうです。

pixta_4629177_S.jpg

今も花菖蒲の群生は、人々の目を楽しませてくれます。花菖蒲のスポットをいくつかピックアップしてみます。

「明治神宮御苑」(東京都渋谷区)は、パワースポットとして人気の「清正井(きよまさのいど)」を水源とする花菖蒲の田んぼがあります。曲がりくねった細い小道が伸び、狭い谷あいのような雰囲気で、とても都心とは思えない趣のある菖蒲田です。

「水郷佐原水生植物園」(千葉県香取市)は、水郷筑波国定公園内にあり、園内の水路をサッパ船と呼ばれる小舟に乗って巡ることができます。花菖蒲の他にも蓮や睡蓮など水生植物の宝庫です。

「箱根町立箱根湿生花園」(神奈川県足柄下郡箱根町)では、花菖蒲の原型といわれるノハナショウブを見ることができます。ニッコウキスゲやトキソウなども見ごろになるそうです。

梅雨の時期、雨が降ると出かけるのが億劫になりますが、花菖蒲は雨にぬれるといっそう趣が増すように感じます。お出かけになってみてはいかがでしょうか。

ところで「何れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」ということわざがありますが、これはどれも美しくて優劣つけがたいという意味。いずれもよく似ていますが、花を見分けるポイントがあるのでご紹介します。チェックしてみてくださいね。

【季節のめぐりと暦】七十二候
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【暮らしのまつり・遊び】雨が似合う花
http://i-nekko.jp/matsuri_asobi/matsuri_natsu/ame/

ページトップへ