各地で開かれる「朝顔市」や「ほおずき市」は夏の風物詩。東京入谷の朝顔市、東京浅草・浅草寺のほおずき市は有名ですが、全国各地で早朝から朝顔やほおずきを売る出店が立ち並びます。
東京・入谷の朝顔市は、入谷鬼子母神を中心に、言問通り沿いに市が立ち、毎年大勢の人で賑わいます。朝顔の中国名「牽牛花(けんぎゅうか)」にちなみ、牽牛といえば七夕伝説に出てくるあの牽牛、ということで七夕を挟んで6日から8日までの3日間開催されます。
朝顔は、江戸時代に観賞用として栽培されるようになり、「変わり咲き」の朝顔が大流行。朝顔市が開かれる入谷は、腕の良い植木職人がたくさんいた朝顔の名所でした。
有名な句に「朝顔に釣瓶(つるべ)とられてもらい水」(加賀千代女)がありますが、朝顔が庶民に愛されていた身近な花だったことが感じられますね。
そして、東京浅草・浅草寺では7月9日・10日にほおずき市が開かれます。
浅草寺のほおずき市はその日一日お参りしただけで「四万六千日」お参りしたのと同じ功徳を得られるという「功徳日」に開催されます。「四万六千」という数字は一升分の米粒の数にあたり、「一生=一升」をかけたものといわれています。
本来7月10日が「功徳日」ですが、10日に一番乗りしたいという思いで前日9日から多くの人出があったことから、9日・10日の両日が「四万六千日」の縁日となったそうです。
ところで、なぜ、縁日でほおずきが売られるのでしょうか。ほおずきは、鎮痛効果の漢方薬になるうえに、実が包まれていることから厄除けとして、また、ほおずきの赤い色は雷様が苦手な色だとされ、夏の雷除けの縁起物となりました。浅草寺では、ほおずき市の2日間だけ「雷除札」(雷よけの御札)がいただけます。
ほおずきを漢字で書くと「鬼灯」。その形はお盆にご先祖様が帰ってくるときの道を照らす提灯に見立てられ、盆棚に飾ったりします。
お近くで朝顔市やほおずき市が開かれるようでしたら、ぜひ、早起きして足を運んでみてはいかがでしょうか。
【季節の行事】朝顔市
https://www.i-nekko.jp/gyoji/2015-070110.html
【暮らしの中の歳時記】ほおずき市
https://www.i-nekko.jp/matsuri_asobi/matsuri_natsu/hozukiichi/
2016年07月05日