日々の便り

2016年08月01日

夏の睡魔を吹き飛ばせ!東北三大祭りの起源は七夕の「眠り流し」

8月2日からは七十二候の「大雨時行(たいうときどきふる)」です。空がにわかに曇り夕立になったりする頃。ひと雨降った後は少し涼しく感じたりしますね。
さて、東北地方も夏祭りのシーズンです。2日から始まる「青森ねぶた」、3日から始まる「秋田竿燈(かんとう)まつり」、6日から始まる「仙台七夕まつり」の3つをあげて「東北三大祭り」と呼ばれています。

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ねぶたも竿燈も七夕も、7月7日の夜に川や海に穢れを流す灯籠流しや灯籠送りが変形したものと考えられています。七夕行事のひとつに、秋の収穫前に労働の妨げとなる睡魔を追い払うため、人形などの形代に睡魔を委ねて祓え流す「眠り流し」という習慣があり、これがさまざまな祭りになって発展しました。ねぶたは「眠たい」の方言の「ねぶたい」が訛ったものと考えられています。
「眠り流し」にまつわる風習は全国でもみられましたが、とりわけ東北地方で発展しました。青森の「ねぶた」や弘前の「ねぷた」の他、秋田の「竿燈まつり」や能代の「ねぶながし」も、「眠り流し」の行事といわれています。

竿燈まつりは、江戸時代に行われていた「ねぶり流し」行事が起源とされています。秋田では、「眠り流し」を「ねぶり流し」と呼びます。江戸時代にすでに長い竿を十文字に構え、それに灯火を数多く付けて、太鼓を打ちながら町を練り歩くという秋田独自の竿燈の形ができていたそうです。ねぶり流しは、お盆を迎えるための一連の行事でもあり、厄除け、禊ぎ、五穀豊穣などの願いを込めて現在の竿燈の形になりました。

竿燈には「幼若」「小若」「中若」「大若」の種類があり、最も大きな「大若」は長さ12m、重さ50kg、提灯の数は46個。差し手は手のひらで差し上げたり、額や肩、腰へと移動させたりと自在に操ります。そのたびに竿燈が大きくしなり、提灯が揺れ、ろうそくの光が輝く姿は圧巻です。

仙台の七夕は、仙台藩祖・伊達政宗が技芸の上達と豊作を願って奨励したのが始まりです。6日の夕方から笹竹を飾って織姫彦星をまつり、線香をともしたり、わらなどで七夕馬を作って田の神に豊作を祈ったりしました。翌7日は、七夕の笹竹を飾りがついたまま広瀬川に流し、水を浴びて身を清めました。これは「七日浴(なぬかび)」「七日盆」などと呼ばれ、本来はお盆を迎える前の禊ぎの行事だったのです。

明治以降衰退しましたが、戦後、復活し豪華な今の七夕祭りに発展しました。飾りつけの美しさを楽しむ、ねぶたや竿燈とはまた一味違ったお祭りです。

【季節の行事】東北三大祭―青森ねぶた祭り
https://www.i-nekko.jp/matsuri_asobi/matsuri_natsu/2018-072510.html
【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/

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