10月3日から七十二候の「水始涸(みずはじめてかるる)」になります。田んぼの水を抜き、稲刈りの準備をする頃。井戸の水が枯れ始める頃との説もあります。
刈り取った稲が稲木にかけられ、垣根のようにずっと続いている光景は、まさに日本の秋の原風景。農家の皆さまのご苦労が実を結び、おいしい新米になります。
さて、10月は「衣替え」の時期です。季節にあわせて衣類を変えることをいいますが、習慣として衣替えが日本で始まったのは平安時代で、「更衣(こうい)」という宮中行事が由来です。明治以降、6月1日と10月1日に、制服などの夏服と冬服を取り替える習慣ができました。ただ、最近の学校では、気候にあわせて前後2週間くらいは夏服でも冬服でも良いとされているところも増えているようです。
着物では、この衣替えのしきたりが今も重要視されています。着物には袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、薄物(うすもの)などがあり、着る時期が決められています。また、四季折々にふさわしい柄があり、季節感を大切にしています。しかも実際の季節より一足早く身に着けるのが粋、いつまでも着ているのは野暮とされています。着物の柄も素材も、変えるタイミングにさえ気を配る、というのが古くからの日本のファッションセンスなんですね。
どうせ着るなら粋に着こなしたいもの。着物ばかりではなく、洋装となった現代でも、季節を先取りして、おしゃれを楽しみましょう。
【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【暮らしの作法】衣替え
https://www.i-nekko.jp/chie/kirumono/koromo/
【暮らしの中の歳時記】着物と季節
https://www.i-nekko.jp/kurashi/2016-092010.html
2016年10月02日