5月26日から七十二候では「紅花栄(べにばなさかう)」です。
紅花の花が咲きほこる頃という意味ですが、実際にはもう少し遅めの地域が多いそうです。
紅花を県の花としている山形県では、7月頃に橙色(だいだいいろ)の花を咲かせ、日に日に花の色が濃い紅に変わっていきます。
紅花はシルクロードを経て飛鳥時代に日本に伝えられたといわれ、万葉集にも「末摘花(すえつむはな)」として登場しています。紅花は染料や口紅になり、珍重されました。ちなみに、「紅(くれない)」という色名は、紅花の古い呼び名に由来しています。
平安時代、「深紅」は「禁色(きんじき)」とされ、一部の高貴な人しか着てはいけない色でした。絹一疋(2反)を染めるのに約20斤(約12kg)の紅花が必要で、それは米13石分にも相当するぜいたく品だったからです。しかも紅花染めは一度では淡いピンク色にしか染まらず、紅に染めるには6~8回も染めを繰り返します。貴族の着る濃い韓紅(からくれない)の衣服は実に12回も染めを繰り返したそうです。女官や庶民も着ることができた「聴色(ゆるしいろ)」は、絹一疋を約1斤の紅花で染めた「一斤染(いっこんぞめ)」。桜色よりもっと薄い色ですが、これ以上濃い色を着ることは許されませんでした。
さて、初夏の訪れとともに店頭に並び始める果物のひとつに「枇杷(びわ)」があります。手でスルスルと皮をむくと、やわらかな果肉があらわれ、食べると上品な香りと甘みが口いっぱいに広がります。露地ものは5月から6月の限られた期間だけ味わえる、今が旬の果物です。
【季節のめぐりと暦】七十二候
https://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【暮らしの中の歳時記】紅花
https://www.i-nekko.jp/chie/hint/2018-060315.html
【暮らしの中の歳時記】日本の伝統色
https://www.i-nekko.jp/chie/kotoba/2018-060613.html
【食の歳時記・旬の味】枇杷
https://www.i-nekko.jp/mikaku/mikaku_natsu/2018-052610.html
2018年05月25日