4月8日または月遅れの5月8日は「花祭り」です。正式には「灌仏会(かんぶつえ)」、「仏生会(ぶっしょうえ)」などと呼ばれる行事で、仏教の開祖お釈迦様の誕生日を祝います。
お釈迦様の誕生の姿を表した「誕生仏」を、花いっぱいの「花御堂」に安置し、その頭上から甘茶をかけて誕生を祝います。甘茶をかけるのは、釈迦の誕生時に九頭の龍が天から清浄の水を注いで産湯を使わせたという故事や、同様に甘露の雨が降り注いだという故事にちなんでいます。
「誕生仏」は、釈迦が生まれてすぐ東西南北の四方にそれぞれ7歩歩み、右手で天を左手で地を指して、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えたという姿を表したものです。「天上天下唯我独尊」の解釈には、我々人間はひとりひとりが使命をもった尊い存在であるなど諸説あります。
また、4月8日からは、七十二候の「鴻雁北(こうがんかえる)」になります。燕が南からやって来る季節には、北に帰っていく鳥もいます。雁もそういう渡り鳥で、夏場をシベリアで過ごすため渡って行きます。
青森県津軽の外ヶ浜付近では、浜に打ち寄せられた木片を集めて風呂を焚く風習があり、「雁風呂(がんぶろ)」といいます。この地方に伝わる民話によると、秋に雁が海を渡って来るとき、海面に浮かべて休むための小枝を1本くわえて来るそうです。浜に着くと小枝を落とし、次の春、また北へ帰るとき、同じ小枝を拾って帰るのだそうです。ところが、雁たちが小枝を落とした浜には、春になっても拾われない小枝が残ります。それは冬の間に死んでしまった雁たちのもの。浜の人たちは供養のためにその枝で風呂を焚き、旅人たちに振る舞ったということです。じんわりと心に残るお話ですね。
「雁風呂」は春の季語や、落語の一席にもなっています。
【暮らしを彩る年中行事】灌仏会
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【季節のめぐりと暦】七十二候
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2021年04月07日