七十二候では6月16日から「梅子黄(うめのみきばむ)」。梅の実が黄ばんで熟す頃という意味です。青い梅が次第に黄色みをおび、赤く熟していきます。
昔から「梅は三毒を断ち、その日の難を逃れる」といい、朝夕に梅干しを1個食べれば健康を保てるといわれてきました。日本に現存する最古の医学書である平安中期の「医心方(いしんぼう)」で、「梅干」の効用が取り上げられています。鎌倉時代以降、実の多くは梅干しとして食用にされ、戦国時代は薬効のある携帯食としても重宝したようです。江戸時代には、庶民の食卓にも登場するようになりました。
青梅は種に有害な成分が含まれているので、生では食べられず、梅酒などにします。梅干しや煮梅などを作るなら、熟した実を使います。簡単な梅干しの漬け方、梅酒の作り方をご紹介しています。わが家の保存食として、作ってみてはいかがでしょうか。
【旬の味覚と行事食】梅酒
【旬の味覚と行事食】梅干し
また、6月16日は「和菓子の日」です。古来より行われていた「嘉祥(かしょう)」という行事にちなみ、全国和菓子協会が1979年に「和菓子の日」としました。
「嘉祥」とは、6月16日に16の数にちなんだ菓子、餅などを神前に供えたり、贈ったり食べたりして疫病を除け、健康招福を祈る行事です。平安時代ごろから明治時代まで延々と伝えられてきました。おいしい和菓子で一息入れて健康祈願もできるならうれしいですね。
【季節のめぐりと暦】七十二候
【食の歳時記・旬の味】梅干し
【四季と行事食】梅酒
2021年06月16日