3月31日から、七十二候では「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」に入ります。冬の間は鳴りを潜めていた雷が、遠くの空でゴロゴロと鳴り始め、春の訪れを告げる頃です。「春雷(しゅんらい)」は「虫出しの雷」とも呼ばれ、冬の間隠れていた虫たちも活動しはじめます。
雷が鳴るとよく「くわばらくわばら」と言いますが、なぜでしょうか?
由来は諸説あります。有名なのは、菅原道真が九州の大宰府に左遷されてから落雷被害が増えたので、これは道真のたたりであると考え、落雷を避けるために道真の領地で落雷のなかった桑原の名を唱えるようになったという説です。菅原道真はのちに天神様・学問の神様と崇められるようになりました。
桜や木蓮など、人目を惹く美しい花々が咲き誇るなか、雑草といわれる草花も春を感じさせてくれます。
その一つが、どこでも見かけるタンポポ。現在は、昔から日本に生息していたタンポポが少なくなり、帰化種となったセイヨウタンポポがあちらこちらで黄色い花を咲かせています。子どもたちは、フワフワの綿毛に息を吹きかけて飛ばす遊びが大好き。春の楽しい遊びです。漢字では「蒲公英」と書きますが、これはタンポポを漢方薬にしたときの名前が当てられたものです。
原っぱや土手には、土筆(つくし)も顔を出しています。土筆はスギナの胞子茎で、その語源は諸説あります。スギナに付いて出てくるので「付く子」、袴の部分で継いでいるように見えるので「継く子」、地面から突き出ることに由来するなどの説があり、その見た目から「土筆」の字が当てられたといわれています。炒め物やつくだ煮などにして食べることもできるので、土筆採りも春の風物詩です。
【季節のめぐりと暦】七十二候
2023年03月31日