日々の便り

2023年04月10日

七十二候「鴻雁北」。ちょっと切ない「雁風呂」とは

4月10日からは、七十二候の「鴻雁北(こうがんかえる)」になります。燕が南からやってくる季節には、北に帰っていく鳥もいます。雁もそういう渡り鳥で、春になると夏場をシベリアで過ごすため渡っていきます。そして、七十二候「鴻雁来(こうがんきたる)」(10月8日ごろ)の頃にまた日本に渡ってくることでしょう。

202304_gan.jpg

青森県津軽の外ヶ浜付近では、浜に打ち寄せられた木片を集めて風呂を焚く風習があり、これを「雁風呂(がんぶろ)」といいます。
この地方に伝わる民話によると、秋に雁が海を渡って来るとき、海面に浮かべて休むための小枝を1本くわえて来るそうです。浜に着くと小枝を落とし、次の春、また北へ帰るときに同じ小枝を拾って帰るのだそうです。ところが、雁たちが小枝を落とした浜には、春になっても拾われない小枝が残ります。それは冬の間に死んでしまった雁たちのもの。浜の人たちは供養のためにその枝で風呂を焚き、旅人たちに振る舞ったということです。じんわりと心に残るお話ですね。
「雁風呂」は春の季語や、落語の一席にもなっています。

【季節のめぐりと暦】七十二候

ページトップへ