日々の便り

2023年07月12日

七十二候「蓮始開」。「くちなし」の芳香漂う季節

7月12日から七十二候の「蓮始開(はすはじめてひらく)」。蓮の花が咲き始める頃です。
優美で清らかな蓮は天上の花にたとえられ、お盆には欠かせません。7月15日にお盆をする家では、蓮の花や葉で盆棚を飾る家も多いことでしょう。仏教では、蓮は泥の中に生まれても汚れなく清らかに咲くことから「清浄無比の花」と尊ばれ、多くの仏典に「蓮華(れんげ)」の名で登場し、仏像の台座にもその形がよく使われています。

蓮は、最も古い植物のひとつで、およそ1億4000万年前にすでに地球上に存在していたといわれています。蓮の生命力は驚異的で、2000年も前の蓮の実が昭和の時代になって発芽した自生地もあります。蓮の名所は各地にありますが、蓮の花は早朝咲き始め、昼になると閉じてしまいます。夏の朝、まだ少し空気がヒンヤリとするうちに静かに開き始める姿は一見の価値ありです。
都内では、上野恩賜公園の不忍池が屈指の蓮池です。広々とした水面が蓮の葉に覆われ、大輪の花を咲かせます。都心でアクセスも良いため、早朝に出かけてみるのもいいですね。

蓮とよく似た植物に睡蓮がありますが、見分けるポイントは葉。睡蓮の葉は切れ込みがあり、水面に広がりますが、蓮は切れ目がなく、水面より上に葉を広げます。葉を観察すると見分けがつきやすいですよ。

202307_kutinashi.jpg

また、くちなしはとても香りの良い初夏の花。うっとりするような甘い香りを漂わせることから、春の沈丁花、秋の金木犀と並んで、三大香木とされています。また、その実は漢方薬、染料、食品の着色料など様々に活用されています。
くちなしの名前の由来や言い伝え、実の活用やくちなしを使った郷土料理もご紹介しています。
【暮らしのまつり・遊び】夏/くちなし


【季節のめぐりと暦】七十二候
【暮らしのまつり・遊び】夏/夏の花―水辺に咲く蓮と睡蓮
【暮らしのまつり・遊び】夏/くちなし


ページトップへ