今日から七十二候では「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」です。
虫たちが土にもぐり、入口の戸をふさぐ頃という意味で、冬ごもりの支度をする時期です。戸をふさいで隠れてしまった虫たちは、来年の春、啓蟄(けいちつ)の頃までお休みします。
さて、食欲の秋にぴったりの食材のひとつに「秋鮭」があります。
鮭は一年中、お料理によく使われる魚ですが、9~11月に川に上るため、主に東北・北海道沿岸に寄ってきた鮭を「秋鮭」「秋味」と呼びます。川にそじょうする直前の秋鮭は脂がのって、最高においしい状態です。メスは卵(筋子)をたくさん抱えており、筋子やいくらも旬の時期です。秋鮭が大量に捕れる北海道や東北には、「鮭のちゃんちゃん焼」「はらこ飯」「石狩鍋」など秋鮭を使った定番の郷土料理があります。
平安時代中期の「延喜式(えんぎしき)」という書物に、越後の国から朝廷に納める税として、鮭が献上されていたことが書かれています。産地で加工されてから運ばれてきたようで、部位によって呼び名は様々。鮭、鮭子(さけこ。筋子やいくらのこと)、内子鮭(こごもりざけ)、氷頭(ひず)、背腸(せわた)、鮭児(けいじ)、楚割鮭(すはやりざけ)などがあります。昔から鮭は「捨てるところがない」といわれていますが、平安時代に筋子を食べていたとは驚きですね。
寿司ネタとしても人気のいくら、ごはんのお供によく合う筋子、どちらも食感と濃厚な味が人気の魚卵の加工品です。いくら・筋子の親はサケ・マスで、産地にもよりますが、秋鮭が獲れる9月中旬頃から11月中旬頃が旬。これからがおいしい季節ですが、そもそもいくらと筋子の違いは何でしょうか。
【食の歳時記・旬の味】いくら・筋子
【季節のめぐりと暦】七十二候
【旬の味覚と行事食】秋鮭
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