12月12日から、七十二候では「熊蟄穴(くまあなにこもる)」に入ります。秋の間に食いだめをした熊がそろそろ冬ごもりを始める頃という意味です。
今年は熊による被害が日本全国で発生しています。畑や田んぼを荒らしたりするだけでなく、民家や倉庫に入り込むなど熊との距離が縮まって、人が襲われる被害も多発しています。猛暑のせいでドングリが凶作となり、山にエサがないためといわれますが、狩猟者が減ったことや、農村地域の高齢化や過疎化によって耕作放棄地が増えことなども熊と人の距離が近くなった原因といわれ、問題解決には時間がかかりそうです。今は早く冬眠に入ってくれることを願います。
さて、12月も半ばとなり年越しの準備を始める頃になりました。それでなくても忙しい年末、お正月の準備が面倒に感じることあるでしょう。でも、お正月のために用意することの一つ一つには大切な意味が込められています。大切な意味ってなんでしょう。あらためて考えてみませんか?
お正月のご挨拶といえば「明けましておめでとうございます」。
でも、なぜ、おめでたいのでしょうか?
それは、元旦には皆さんの家に、1年の幸福をもたらす「年神様」という新年の神様がやってくるとされているからです。
では、年神様とはどんな神様なのでしょうか?
年神様は、日本人の大切な食料である稲を守り、すべての作物を司って、1年の豊作をもたらす神様であり、私たちのご先祖様(祖霊神)でもあると考えられてきました。ですから、五穀豊穣や子孫繁栄に深く関わり、人々に健康や幸福を授けるとされています。「正月様」「歳徳神(としとくじん)」ともいわれています。
新しい年を「迎える」と表現したり、「一年の計は元旦にあり」といったりするのも、年神様を元旦にお迎えするからです。おなじみの「明けましておめでとうございます」は、無事に年を越し、年神様をお迎えできたことを祝福する挨拶なのです。
年神様にたくさんの幸せを授けてもらいたいという人々の願いが形になり、様々な正月行事や風習が生まれ、伝えられてきました。大掃除をしてしめ飾り、門松、鏡餅を飾る。おせちやお雑煮を食べる。これらはみな年神様をおもてなしするための一連のストーリーです。そう考えると、お正月の支度がとても大切に感じられませんか? 13日は「正月事始め」についてお伝えします。
【季節のめぐりと暦】七十二候
【暮らしを彩る年中行事】お正月
2023年12月12日