餅は、昔から神様に捧げる神聖な食べものとして、祝い事や祭りには欠かせないものでした。「鏡餅」も正月には欠かせません。なぜなら「鏡餅」は、新年の神様である年神様の依り代(よりしろ)、つまり家にやってきた年神様の居場所だからです。
年神様は、新しい年の幸福や恵みとともに、私たちにその年の「魂」を分けてくださると考えられてきました。「魂」とは、例えると私たちの生きる力、気力のようなもので、その「魂」は年神様が依りついた餅(鏡餅)に宿るとされました。この餅を「御年魂(御年玉:おとしだま)」として分け、「雑煮」にして食べることで、その年の「魂」をいただいたのです。
これが、子どもたちが楽しみにしているお年玉の由来です。
今は誕生日がくるとひとつ年を取りますが、かつては正月に年神様から「年魂」をもらってみんなひとつ年をとったのです。これが数え年という年齢の数え方で、年神様から「年魂」をいただくことが本来のお年玉です。
鏡餅の丸い形は、昔の鏡「銅鏡」に見立てて作られたことに由来します。伊勢神宮をはじめ、鏡をご神体としているところもたくさんあります。鏡餅は年神様の依り代ですから、ご神体としての鏡を餅であらわし、ネーミングも鏡餅というわけです。
餅を大小2つ重ねるのは、月と太陽、陰と陽を表しているといわれています。
鏡餅も門松同様、29日、31日を避けて飾る習わしがありますが、29日は福を呼ぶ「福餅(福持ち)」と捉えるところもあります。
そして、1月11日(地方によっては15日または20日)の鏡開きにお雑煮やお汁粉などにしていただきます。
鏡餅は供え、開き、食べてこそ意味を成すのですね。
鏡餅の役割について詳しくは「暮らし歳時記」のサイトもぜひ、ご覧ください。鏡餅の飾り方もご説明しています。
【暮らしを彩る年中行事】お正月
【暮らしを彩る年中行事】お正月/鏡餅
【暮らしを彩る年中行事】お年玉
2023年12月20日