2月14日から、七十二候の「魚上氷(うおこおりをいずる)」に入ります。水がぬるみ、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃。春の足音を感じて、魚たちも活気づくのでしょうか。春先の薄く張った氷をさす「薄氷(うすらい)」は、早春の季語です。
日本各地に、春の訪れを告げる「春告げ魚」がいます。
その一つが名前からして、魚偏に春と書く「鰆(さわら)」。春の季語になっていますし、瀬戸内海を中心に春に旬を迎え、淡白ながらほろりとした甘みがあり、どんな調理法でもおいしくいただけます。
北の春告げ魚といえば、かつては「鰊(にしん)」でしたが、現在は漁獲高が減少し、鰊に変わって「メバル」が春告げ魚と呼ばれるようになってきました。
他にも、兵庫県のイカナゴ、伊豆諸島のハマトビウオ、また、渓流釣りでは3月に解禁されることからアマゴやヤマメなども春告げ魚と呼ばれます。
地域や時代によっても春告げ魚は異なりますが、春先になるとぴちぴちと元気に集まってくる魚たちに、人は親しみを込めて「春告げ魚」と呼んだのでしょう。
さて、月遅れの小正月となる2月15日、16日に、秋田県横手市では雪まつりが開催されます。有名な「横手のかまくら」です。「かまくら」は、水神様を祀る小正月行事で、約450年の歴史があるといわれています。ミニかまくらにろうそくがともされた幻想的な雪の世界も見ることができますが、もともと、「かまくら」は見るものでなく、中に入って、正面に祀られた水神様にお賽銭を上げて、家内安全・商売繁盛・五穀豊穣などを祈願するものです。
かまくらの中に子どもたちが入って、水神様をお参りしたい大人たちが来ると、子どもたちは「はいってたんせ(かまくらに入ってください)」「おがんでたんせ(水神様をおがんでください)」といいながら、甘酒や餅をふるまいます。大人たちは賽銭を水神様にあげてお参りをし、子どもたちに餅や果物などを渡します。大人たちが置いていった賽銭や餅などは、子どもたち皆で分けて持ち帰ります。
寒い中でも心がほのぼのと温かくなる子ども中心の雪まつりです。
【季節のめぐりと暦】七十二候
【旬の味覚と行事食】春告げ魚
【暮らしのまつり・遊び】冬/かまくら
2024年02月14日