日々の便り

2024年03月01日

草木が芽吹き始める頃。春の訪れを告げる東大寺「修二会」

3月の和風月名は「弥生(やよい)」。暖かな陽気になり草木がいよいよ茂るという意味の「弥生(いやおい)」がつまって「弥生(やよい)」になったとか。「弥(いや)」は「いよいよ」「ますます」などの意味で、「生(おい)」は、「生い茂る」というように草木が芽吹くことを表しています。さらに、旧暦の3月は桜が咲くころなので「花見月(はなみづき)」、「桜月(さくらづき)」、「花月(かげつ)」などの別称もあり、どれも春らしくてステキな名前ばかりですね。

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七十二候でも、草木が芽吹き始める頃という意味の「草木萌動(そうもくめばえいずる)」になります。葉が落ちた後にできた冬芽は、じっとこの時を待っていたのでしょうね。

さて、もうすぐひな祭り。本来は「上巳(じょうし)の節供」、「桃の節供」といいます。ひな人形を飾り、女の子の健やかな成長を願う行事として親しまれています。
「桃の節供」といわれるのは、旧暦の3月3日が新暦の4月半ばにあたり、ちょうど桃の花の開花する頃で、古来、桃の木が邪気を祓う神聖な木と考えられていたからです。

さて3月1日から14日まで、奈良・東大寺二月堂では、修二会(しゅにえ)が行われます。「お水取り」「お松明」という名で親しまれている春の訪れを告げる行事です。二月堂の本尊、十一面観音菩薩の宝前で、鎮護国家、天下泰安、風雨順時、五穀豊穣、万民快楽など、人々の幸福を願う行事として天平勝宝4(752)年にはじめられ、現在まで途切れることなく続けられ、2024年は1273回になるというのですから驚きます。
12日の夜、本尊に供える香水を井戸から汲み上げる行事があることから「お水取り」の名があります。また、行をつとめる練行衆が二月堂に上堂する際、足元を照らす大松明で先導されることから「お松明」とも呼ばれます。
現在では3月1日から2週間にわたって行われていますが、もとは旧暦の2月1日から行われていたので、二月に修する法会という意味をこめて「修二会」と呼ばれるようになったそうです。また二月堂の名もこのことに由来しています。

【季節のめぐりと暦】和風月名
【季節のめぐりと暦】七十二候

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