日々の便り

2024年10月28日

七十二候「霎時施」。日本の美を間近に見る「正倉院展」

10月28日からは七十二候の「霎時施(こさめときどきふる)」。しとしとと降り続くのではなく、時折、冷たい小雨がぱらぱらと降る頃です。古くは「霎」をしぐれと読んでいたとか。ひと雨ごとに気温が下がり、冬の足音が近づいてきます。

202410紅葉_pixta_48017727_S.jpg

10月26日から11月11日までの17日間は、奈良国立博物館で「第76回正倉院展」が開催されます。東大寺の正倉院は、8世紀の中頃、光明皇后が聖武天皇の遺愛品を東大寺盧遮那仏(大仏)に奉献したのがはじまりで、東大寺での法要にまつわる品々や東大寺の造営に関する品々が収められており、ほかに宮中儀式具や武器・武具なども残っています。
正倉院はシルクロードの終着点ともいわれ、大陸から伝わった宝物や日本文化の源泉ともなった宝物が納められている大変貴重な倉庫です。宝物は厳重に保管され、通常は一般公開されません。
正倉院では古来、高温多湿の日本で文物を長く保存するために「曝涼(ばくりょう)」と呼ばれる虫干しが行われていました。空調設備の整った新宝庫に移された現在は、虫干しというより宝物の点検や整理などが主な作業ですが、その期間を使って毎年秋に「正倉院展」が開催され、毎年60件ほどを選んで出陳されます。

また、毎年10月27日から11月9日までの2週間は読書週間です。戦後まもない1947年に「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版関係・マスコミ関係・公共図書館などが協力して立ち上げたもので、今年で第78回を数えます。
毎年ポスターや標語を募集しており、今年の読書週間の標語は「この一行に逢いにきた」。本の世界への愛情が感じられます。電子メディアの普及で、ページをめくって本を読むことが減ってきている現代ですが、面白い本、役立つ本、心を満たしてくれる本はいまも身近にたくさんあります。この機会に図書館や書店で本との出会いを探してみてはいかがでしょうか。

【季節のめぐりと暦】七十二候
【暮らしの中の歳時記】正倉院展

ページトップへ