日々の便り

2025年02月08日

暮らしの知恵が息づく「刺し子」。「事八日」には「針供養」

2月8日からは七十二候の「黄鴬睍睆(うぐいすなく)」です。山里で鶯が鳴きはじめる頃。春の訪れを告げる鶯は「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれます。「梅に鶯」とよく言いますが、梅の花も早春一番に開花するおめでたい花。実際に梅の木にとまる鶯色の鳥はメジロだそうですが、春の到来を表すおめでたい梅と、春の訪れを告げる鶯の取り合わせは人々の理想のイメージとして親しまれてきました。

また、2月8日は「事八日」の日。「事」とは、もともと祀りあるいは祭りを表す言葉で、コトノカミという神を祀るおまつりの日です。そのおまつりが12月8日と2月8日の2回あり、「事八日」「事の日」などと言われました。
「事」がはじまるのを「事始め」、「事」が終わるのを「事納め」といいますが、実は、コトノカミが「年神様」か「田の神様」かで、事始めと事納めの時期が逆転します。
コトノカミを年神様ととらえるところでは、年神様を迎えるために正月準備を始める12月8日を「事始め」、2月8日を「事納め」としました。
コトノカミを田の神様ととらえる農家などでは、作業を締めくくる12月8日が「事納め」、年が明け農作業を開始する2月8日を「事始め」としました。
「事」を何ととらえるかによって、一方のはじまりの日はまた一方の終わりの日になるわけです。

事八日には道具に感謝をする「針供養」をしますが、地方や社寺によって2月8日、または12月8日に行われています。針供養は、古くなった針や、折れたり曲がったりした針、さびた針などを豆腐やこんにゃくなどに刺して供養し、裁縫の上達を願います。

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裁縫といえば、日本には古くから「刺し子」という伝統手芸があります。布地に糸目が連なり、幾何学的な模様が美しく描き出されています。しかし「刺し子」はただ美しいだけでなく、人々の生きるための暮らしの知恵と工夫が詰まった実用的なものでした。いまは、美しい伝統手芸の技法のひとつとして愛用されている方や、作品作りを楽しんでいる方も多いようです。「刺し子」の魅力や日本三大刺し子をご紹介します。
【暮らしの知恵】刺し子


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