2018年06月01日

稽古始め

子どもに習い事をさせる時、始めるのはいつからが良いのでしょうか。
寺子屋や私塾では、初午に入門する習わしがあったそうですが、楽器や舞踊などの伝統芸能では、子どもが稽古を始めるのは6歳の6月6日から始めると上手になるとされています。これにちなんで、6月6日には「楽器の日」「邦楽の日」「いけばなの日」などが制定されています。

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■世阿弥(ぜあみ)の著「風姿花伝(ふうしかでん)が由来

室町時代に能を大成した世阿弥が著した能の理論書、「風姿花伝」の中にその由来の一つがあります。
「風姿花伝」は、子どもの成長とともに芸の稽古の有り様を説く「年来稽古条々(ねんらいのけいこのじょうじょう)」から始まっています。この冒頭に、「一、この芸において、おほかた、七歳をもてはじめとす」とあり、「習い事を始めるには数え7歳(つまり満6歳の年)がもっとも良い」と説いています。


大まかな内容は次の通りです。
「能楽の稽古は、だいたい七歳くらいで始めるのが良い。この頃の能の稽古は自然にまかせること。どんな子でも、やりたいようにやらせておくと、自然に出てくるやり方の中に必ず個性が見えてくる。型にはめず、その子の好きなようにやらせておくのが良い。

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この頃はあまり細かく教えたり、口うるさく注意したりすると、やる気を無くしてしまう。
基礎的なことだけを教え、それ以上のことはさせてはいけない。子どもの中にはもっと演技ができる者もいるが、あえてそのようなことは教えないほうがよい。
格の高い大きな場所には出演させてはいけない。ちょうど良さそうな、その子の最も得意とする役柄で出してやるのがよろしい」


子どもを叱らず、のびのびと楽しく稽古させている姿が浮かぶようですね。
このような、「褒めて伸ばす」教え方は、現代の教育にも通じるところがあり、古さを感じさせません。


■6月6日の訳
江戸時代になると、歌舞伎の台詞として「6歳の6月6日の・・・」と6続きのゴロの良い言い回しが使われるようになり、それが定着し、習い事を始めるのは6歳の6月6日からというのが定着したようです。


また、別の由来として、数を数えるとき、親指から順に指を折って数えていくと、6のときに小指が立ちますね。「小指が立つ」→「子が立つ」ということで縁起が良い6歳の6月6日になったという説もあります。


■稽古の意味
ところで、「稽古」ということばの意味をご存知ですか?
「稽」は「考える」という意味で、「稽古」は「古(いにしえ)を考える」という意味があります。芸能や武術、技術などを習うことや練習することの他に、昔の書を読んでものの道理や故実を学ぶことも稽古といいます。
何かを習うとき、その習い事の由来や歴史を考え、伝統を大切にしながら身につけていきたいものですね。



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