2018年06月06日

月の名前

現代の暦は太陽の動きにもとづいていますが、それまでは月の満ち欠けによる暦でした。月を目安に時を知り、月明りを頼りに暮らすなど、月は生活の礎だったのです。
人は様々な表情をみせる月に魅せられ、月に名前をつけました。それが、出てくる月の気持ちになったり、待ちくたびれる人の気持ちになったり、とても洒落ていてロマンチック。月の名前を知って月を眺めると、その美しさもまた、ひときわ冴えて見えますよ。
さて、今宵の月はどんなふうに見えますか...

 

月(大).png

 

 


■月の満ち欠けによる名前
月齢15日目の十五夜は、月が太陽の反対側に来て、まん丸の満月が輝きます。この月は日没とともに東の空に昇り、明け方には西の空に沈みます。これ以降は月の出がおよそ50分ずつ遅くなっていくので、16日目は、月が出てくるのをいざよう(ためらっている)ようだとして、「十六夜」と書いて「いざよい」と読みます。
17日目は、さらに遅いので、まだかまだかと立って待つ「立待月」。
18日目は、待ちくたびれて座ってしまうので「居待月」。
19日目は、もう床に入って待つから「寝待月」。
20日目は、夜も更ける頃なので「更待月」。
そして、26日目には夜明け(有明)の空に昇るから「有明月」。※


※「有明月」は16日目以降の月の総称でもあります。
このほかにも様々な名前がついていて、月に寄せる思いが伝わってきます。

 


■季節や風情をあらわす名前
たくさんある中から、幾つかご紹介します。

 

月・すすき.png

 

【季節】
・春月(しゅんげつ)、夏月(かげつ)、秋月(しゅうげつ)、冬月(とうげつ)
春夏秋冬それぞれの月。
・朧月(おぼろづき)
かすかに霞んだ月。春の季語。
・寒月(かんげつ)
冷たく冴えてみえる月。冬の季語。

【気象・天候】
・雨月(うげつ)
雨の夜の月。十五夜が雨で見えないときもいう。
・無月(むげつ)
十五夜が曇りで見えないとき。
・薄月(うすづき)
薄雲のかかった月。

【月の見え方】
・孤月(こげつ)
寂しげにみえる月。
・淡月(たんげつ)
光の淡い月。
・青月(せいげつ)
青く輝く月。
・明月(めいげつ)、朗月(ろうげつ)、皓月(こうげつ)、素月(そげつ)
清く澄んだ月。

【時間の推移】
・夕月(ゆうづき)
夕方にみえる月。
・黄昏月(たそがれづき)
黄昏時の月。
・残月(ざんげつ)、有明の月、朝行く月
夜明けにまだ残っている月。

風情をあらわす月の名前は、ひとつの正解があるわけではありません。感性を大切にして月を眺め、自分の気持ちにふさわしい名前をつけてみるもの面白いですね。

 


こちらもあわせてご覧ください。

【季節の行事】十五夜・十三夜・十日夜
【暮らしの中の歳時記】お月見の楽しみ方
【食の歳時記・旬の味】月見だんごときぬかつぎ

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