夏になると、あちらこちらから蝉の声が聞こえてきます。トンボや蝶、カブトムシなど、夏の虫はたくさんいますが、大きな鳴き声でひときわ存在感を示しているのが蝉達です。
成虫としての短い命を燃やすように、いっせいに鳴き立てる声は「蝉時雨(せみしぐれ)」ともいわれ、夏の風物詩のひとつ。
メスは鳴かず、鳴くのはオスだけで、鳴き方や鳴く時間帯は種類によって異なります。
■蝉の声で知る夏のゆくえ
・ニイニイゼミ
他のセミより一足早く梅雨明け頃から現れ、桜の木によく集ります。いっせいに「ニ~ンニ~ン」と鳴き、松尾芭蕉の有名な俳句「閑さや岩にしみいる蝉の声」はこのニイニイゼミといわれています。抜け殻は小さくて泥まみれなのが特徴。
・ヒグラシ
6~9月頃に現れ、朝と夕方に「カナカナカナカナ・・・」と哀調のある声で鳴きます。その鳴き声から夏の終わりに鳴くイメージが強いのですが、実はニイニイゼミと同じ6月頃から鳴き始めます。
・アブラゼミ
沖縄を除き、日本では最も広い地域で見られる蝉。7〜9月に現れ「ジージリジリ...」と鳴きます。夏の午後、公園や町中の電信柱、家の外壁にも止まって鳴くことがあり、近くで鳴かれるとかなりうるさい。
・ミンミンゼミ
7〜9月に現れ、その名の通り「ミーン、ミーン」と鳴きます。東日本では平地、西日本では山間に生息することが多い蝉です。
・クマゼミ
日本で一番大きなセミ。西日本以南に多く現れます。7〜9月の午前中、日差しが強くなり始める頃に「シャア、シャア」と鳴きます。
・ツクツクボウシ
「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ」と特徴のある鳴き声がそのまま和名になりました。
7〜9月に現れますが、夏の終わりに数が増えて鳴き声が目立つようになるので、秋を告げる蝉とされます。