2019年07月12日

日食と月食

地球と月は、太陽の光を反射して輝く天体です。また、地球と月の公転により、太陽・地球・月の位置関係は毎日変化しています。そのため、太陽・地球・月の並ぶ位置によって、太陽の光が遮られ、太陽や月が暗く見えたり、欠けて見えたりすることがあります。それが日食や月食です。いつも空に輝いている太陽や月が急に陰りだし、世界が暗くなる......。天文の知識がない古代の人々は日食や月食を恐れていたようです。世界各地に残る神話や伝説の中に、これは日食や月食のことではないかと思われることがいろいろあるそうです。この不思議な現象が起こる理由をおさらいしてみます。


■日食とは

日食とは、月が太陽の前を横切るために太陽・月・地球の順番で一直線に並んだとき、月によって太陽が隠される現象です。
見る場所によって太陽が隠される大きさや時間が違い、太陽の隠され方によって、日食は3種類に分類されます。太陽の一部が月によって隠される「部分日食」、太陽がすべて隠される「皆既日食」、月の周りから太陽がはみ出して見える「金環日食」です。

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・日本で日食が見えるのは?
日食は毎年、世界中のどこかで観測されています。日本では2019年1月6日に部分日食がありました。次は2019年12月26日に部分日食となりますが、地域によっては日没を迎えるところもあるなど、見られる地域は限られます。
2030年6月1日には北海道で金環日食が見られるということなので、観測熱も高まるでしょう。


■月食とは

月食とは、太陽と月の間に地球が入り、太陽・地球・月の順番で一直線に並んだときに、地球の影に月が入り、月が暗くなったり、欠けたように見えたりする現象です。
地球の影には太陽光がほぼ遮られた「本影」と、その周りの薄い影の「半影」があります。月が半影に入った「半影食」は目で見ただけでははっきりしません。一般に月食とは本影に入った「本影食」の状態で、月が全部地球の本影に入って隠されてしまうのが「皆既月食」、一部だけ隠されるのが「部分月食」です。

月食は、太陽、地球、月が一直線に並ぶ満月の頃だけに起こりますが、太陽の通り道である黄道に対して、月の通り道である白道が傾いているため、満月のたびに月食になるわけではありません。
また、皆既月食になっても月は完全に消えるのではなく、赤銅色になって見えることがあります。これは、太陽光の中の波長の長い赤い光だけが弱まりながらも地球の大気中を通過して月を照らすためです。

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・日本で月食が見えるのは?
2019年7月17日の明け方、日本では「月入帯食(げつにゅうたいしょく)」が見られます。月入帯食とは、部分月食の月が欠けたまま西の空へ沈んでいくことです。南西諸島、九州地方、四国地方、中国地方などで、朝方5時頃からの数分間、お天気が良ければ「月入帯食」が見られます。その次のチャンスは2021年5月26日、皆既月食が見られるそうです。


■日食・月食は感動的な天体ショー

古代の人々は、この不思議な現象から物語を紡いだり、不吉なことの前触れであるなどと恐れたりしていました。しかし、現代では稀にしか見られない、しかも肉眼でも見られる天体ショーとして人気です。日食や月食は、私たちも壮大な宇宙の中に存在しているのだと感じられる貴重な体験でしょう。

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