秋も深まり、紅葉の便りが聞かれるようになりました。
気象庁では、全国の気象官署で統一した基準によって、かえで、いちょうが紅(黄)葉した日などを発表しています。標本木を観察することで、季節の遅れ進みや気候の違いなどを把握することができ、また、生活情報のひとつとしても利用されています。
■かえでの紅葉日
気象庁では、かえでの標本木全体を眺めたときに、大部分の葉の色が紅色に変わった状態になった最初の日を、かえでの紅葉日としています。かえでは主としていろはかえでを標本木としますが、いろはかえでが生育しない地域では、やまもみじ、おおもみじ、いたやかえでを観測します。
いろはかえでは東北地方南部から九州地方の山地に広く自生する落葉樹ですが、秋の紅葉が美しいため各地の公園や庭園に植えられています。いろはかえでの紅葉の他にも、落葉日を観測しています。
・かえでの紅葉日の目安
10 月中旬:北海道地方
11 月 10 日頃:東北地方北部
11 月 20 日頃:関東北部から北陸地方北部に達します
11 月 30 日頃:関東地方、北陸地方、東海地方、中国地方、四国地方、九州地方北部まで南下
12月上旬~中旬:関東地方から東海地方の太平洋側、近畿地方、九州地方南部
※気象庁ホームページ 生物季節観測の情報より
■いちょうの黄葉日
気象庁では、いちょうの標本木全体を眺めたときに、大部分の葉が黄色に変わった状態になった最初の日を、いちょうの黄葉日としています。いちょうの黄葉の他、発芽日、落葉日を観測しています。
・いちょうの黄葉日の目安
10 月下旬:北海道地方や東北地方の一部
11 月 10日頃:東北地方や北陸地方北部を結ぶ地域
11 月 20 日頃:関東地方北部、北陸地方、甲信地方、近畿地方、中国地方、四国地方と九州地方の一部にかけての地域
11月終わり~ 12 月初め:関東地方から東海地方、四国地方にかけての太平洋側、四国地方、九州地方南部
※気象庁ホームページ 生物季節観測の情報より
・いちょう豆知識
いちょうは社寺の境内、学校や公園、街路樹としてもよく見かける木で、その種子である銀杏は食用にもなります。
このようになじみ深い木ですが、いちょうは 雌雄別株の裸子植物で、恐竜が闊歩していた中生代ジュラ紀には地球を広く覆っていたそうです。氷河期にほとんど絶滅し、現在のいちょうの一種だけが中国の一部に生き残ったため、「生きている化石」ともいわれています。種子植物の祖先に近い貴重な木で、野生のものは知られていません。日本のいちょうもすべて植えられたものです。
明治時代になって、日本の研究者、平瀬作五郎が、いちょうの生殖器官が精子を作ることを発見し、いちょうがシダ類から進化したものであるということが裏付けられました。