桜が葉桜となり、緑がまぶしい4月。ハナミズキが、白やピンクの花を枝いっぱいにつけ始めます。庭木や街路樹などとして人気があり、よく見かけますが、ハナミズキはもともと日本にあった木ではありません。日本のハナミズキの歴史や豆知識をご紹介します。
■ハナミズキの花の特徴
ハナミズキは、北米原産でアメリカを代表する花のひとつ。ミズキ科ミズキ属の落葉高木で、成長すると10m近くまで大きくなります。ただし、剪定によって樹高を抑えられ、樹形も自然と定まるので管理がしやすい木といえます。
春の美しい花、夏の青葉、秋の紅葉など、たくさんの観賞ポイントのあるハナミズキは、庭木、公園樹、街路樹としてさかんに使われています。
ハナミズキの花期は4~5月。色がきれいで花のように見えるのは、本来の花弁ではなく総苞片で、葉が変化したものです。本当の花は、4枚大きく開いた総苞片の中心にあり、10~20個ほどの黄緑色の蕾が黄色に開花し、秋になると紅色の実をつけます。
ハナミズキの花(総苞片)の基本は白色で、薄紅色の品種は「ベニバナハナミズキ」と呼ばれますが、現在は白花、赤花やピンクの花それぞれに様々な種類があります。公園や街路樹で見かけたら、花の色を見比べてみるのも面白いですね。
■ハナミズキは日米親善の木
ハナミズキは、明治45(1912)年に当時の東京市長であった尾崎行雄氏がアメリカ・ワシントン市へ桜の苗木3,000本を寄贈した御礼として、大正4(1915)年に日本に贈られてきました。日本にやってきたハナミズキの苗40本は、日比谷公園や新宿御苑、小石川植物園など、各地に植えられ、その後、全国に普及していきました。
しかし、戦時中に伐採されたりして今残っている原木は一本だけで、都立園芸高校に現存しているそうです。この高校には、キャロライン・ケネディ米国大使(2015年当時)が植えられたハナミズキもあるそうです。
■ハナミズキの名前の由来と花言葉
ミズキの木は水をよく吸って枝を切ると水が滴るほどだということで「水木」になったといわれます。ハナミズキは、ミズキ科の中でも花が特によく目立つので「花のミズキ」でハナミズキとなりました。漢字で書くと「花水木」です。
また、ハナミズキと日本原産のヤマボウシは、見た目がそっくり。そのため、アメリカからやってきたときにつけられたハナミズキの和名は「アメリカヤマボウシ」です。ヤマボウシのほうが総苞片の先が少しとがっており、開花も6月頃からとハナミズキより少し遅いので、見分けることができます。
また、ハナミズキの日本での花言葉は「返礼」。日本にやって来た由来そのままですね。このほかに、「永続性」「私の思いを受けてください」「華やかな恋」などもあります。
2024年04月25日