2024年06月21日

合歓の木(ねむのき)

昔から人々に親しまれてきた「合歓の木」。6月から7月頃にかけてかわいい薄紅色の花をつけ、「七夕」とも深い関係がある木です。さて、どんな関係なのでしょうか。

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■夜になると眠る「合歓の木」
6月から7月頃に薄紅色の花をつける「合歓の木」。その葉は、葉柄の両側に小さな葉が連なっていて、鳥の羽のような形をしています。
合歓の木の特徴は、夜になって暗くなると葉がゆっくりと閉じていくことです。それがまるで眠りにつくように見えることから「眠りの木」、それが転じて「ねむの木」という名前になりました。
合歓の木の漢字に「合歓」が当てられているのは、中国名の「合歓(ごうかん)」に由来しています。夜になると左右一対の小葉が重なり合って閉じるので、中国では夫婦円満の象徴として親しまれています。

■合歓の木はなぜ眠るのか
葉が閉じる植物では「おじぎ草」がよく知られていますが、おじぎ草は触ると一つ一つの葉が閉じていくのに対し、合歓の木は葉を触っても閉じません。暗くなるのを感じて葉が閉じる「就眠運動」によって、まるで眠るかのように閉じるのです。
なぜなのでしょうか?
理由の一つとして、葉から水分が蒸発して乾燥してしまうのを避けるためといわれています。昼でも気温が非常に高いと葉を閉じることがあるそうです。
また、植物にも体内時計があり、1日のリズムを保つためとも考えられています。

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■かわいい薄紅色の花の正体は
合歓の木は、マメ科ネムノキ属の落葉高木で、成長が早く、樹高は10mくらいまで大きくなります。枝を横に広げ、夏場には日陰を作るので、公園などでもよく見かけます。
大きく枝を広げた先にたくさんの薄紅色の花をつけますが、その花の形がちょっと変わっています。まるで化粧に使う刷毛のよう。毛のように見える部分は雄しべの花糸で、根元は白く、毛先が薄紅色。雌しべも白色の糸状ですが、雄しべより長いのでよく見るとわかります。花に花びらはないですが、花のように鮮やかなたくさんのおしべが虫たちをひきつけ、受粉を促しているのです。

■七夕と合歓の木のつながり
七夕行事のひとつに、秋の収穫前に労働の妨げとなる睡魔を追い払う「眠り流し」という習慣があります。
その由来のひとつが、合歓の木の枝を川に流す習わしで、「ねむ流し」「眠り流し」などと呼ばれています。合歓の木は「眠た木(ねむたぎ、ねぶたぎ)」と呼ばれることもあり、合歓の木を流すことで眠気を流してしまおうというわけです。 
「眠り流し」にまつわる風習は日本各地でみられましたが、とりわけ東北地方で発展しました。「ねぶた」は「眠たい」の方言の「ねぶたい」が訛ったものと考えられています。青森の「ねぶた」や弘前の「ねぷた」の他、秋田の「竿燈まつり」や能代の「ねぶながし」も、「眠り流し」の行事といわれています。


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