真っ赤なガクに包まれたまんまるな実が可愛いほおずき。梅雨明けの頃、東京を中心に関東各地でほおずき市が開かれます。江戸中期からの歴史を持つ浅草寺のほおずき市は、市の日にお参りすると「四万六千日」お参りしたのと同じご利益があるといわれ、多くの参拝客で賑わいます。
ほおずきはもともと、薬草として売られていたもの。開花の時期と神社仏閣の功徳日が近かったため、参拝の土産として縁日で売られるようになったものです。夏らしい浴衣姿で、ずらりと並んだほおずきを見て歩くのも楽しいもの。ひと鉢買って持ち歩くのも絵になります。
ほおずきを買ったら、日当たりのいい窓際に鉢を置いて、朝晩たっぷり水をあげましょう。買ったときは青かった実も、どんどん朱色に染まり、夏のあいだ楽しめます。
ほおずきが熟したら鳴らして遊んでみましょう。
①外皮を開いて、中の実をもみます。
②種がくるくる浮いてきたら、外皮を付け根のところからねじるようにして、実から引きはがして中身を取ります。
③穴を下にして、上の歯ぐきと舌でギュッと空気を絞り出すと音が鳴ります。
漢字では、一般的に「鬼灯」「鬼燈」と書きます。赤い色は夏の雷除けであり、その形からお盆で先祖が帰ってくるときの道を照らす提灯になるとされ、お盆の精霊棚に飾ります。
また、漢方では根を「酸漿根」(さんしょうこん)といい、茎や葉とともに解熱や咳止めなどに用います。果肉を食べると癇癪に効くとされており、ほおずきに「酸漿」の字をあてることもあります。
そのほかにも、ほおずきの天敵はカメムシで、カメムシを「ホオ」ともいい、この虫がほおずきの葉を好んで集まるので「ホオ着き」、口で鳴らすときに頬がぷくっと膨らむから「頬突き」、果肉が火のように赤いから「火々付」など、さまざまな語源があります。