2020年09月09日

夏から秋にかけて出回る「梨」。みずみずしい甘さとシャキシャキとした食感が特徴的ですね。梨の種類は多く、味わいのバリエーションも豊富。それぞれの旬の時期も少しずつずれているので、旬の長い果物でもあります。いろいろな梨を楽しんでみてくださいね。

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■梨の種類いろいろ

梨は中国が原産で、日本では弥生時代には食べられていたといわれています。

・日本の梨
日本の梨には多くの種類がありますが、大きくは「赤梨」「青梨」の2種類に分けられます。赤梨は幸水、豊水、新高などがあり、皮の色が少し赤味を帯びた茶褐色で、皮の表面がザラザラとしているのが特徴です。
青梨は緑色や黄色い梨で、二十世紀やゴールド二十世紀、菊水などがあります。
幸水が出回るのは7月~9月中旬、二十世紀は8月下旬~10月上旬、新高は9月下旬~11月と旬の季節がずれているので、いろいろな梨の味を長く楽しむことができます。新雪や愛宕梨など12月・1月の冬場に旬を迎える冬梨もあります。

・洋梨
「ラ・フランス」「ルレクチェ」などの洋梨も人気があります。上が細くなった形で、なめらかでねっとりとした食感。甘くて芳醇な香りがします。生食はもちろん、ケーキやデザートなどにもよく利用されていますね。
洋梨栽培は山形県が盛んで、ラ・フランスは山形県産が有名です。ルレクチェは新潟県のブランド梨です。洋梨は収穫してから追熟が必要で、ラ・フランスの場合、収穫後2週間くらい追熟させ、10月下旬ごろから出回り始めます。


■おいしい梨の見分け方

日本の梨を買うときに知っておきたいおいしい梨の見分け方です。
①上から見て正円で、お尻の方がどっしりとした感じのもの。(梨はお尻の方が甘みが強い)
②赤梨は、薄茶から赤みが増してきたころが食べごろです。青梨は緑色が黄みを帯びると甘みが強くなってきたしるしです。
③手に持ったときにずっしりと重く大きいものがジューシー。

日本の梨は追熟しないので、食べごろを見計らっていただきましょう。長時間冷やしすぎると甘みが薄れてしまうので、食べる1時間ぐらい前に冷蔵庫で冷やすのがおすすめです。

また、梨を切るとだんだんと茶色っぽく変色してきてしまいますが、塩水や砂糖水に数分浸けると変色防止になります。お弁当やお客様に出すときなどに助かりますね。
(水200mlに対して、塩水の場合は塩小さじ1/5、砂糖水の場合は砂糖大さじ1が目安)


■梨の別名は「有りの実」

梨は「無し」に通じるので、縁起が良くないという考えから、反対の「有り」に言い換えて「有りの実」とも呼ばれています。「するめ」を「あたりめ」などというのと同様です。
また、東京の地名「亀有」も昔は「亀無」という地名でしたが、「無」は縁起が悪いということで「亀有」になったという説があります。(諸説あり)

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■梨にちなんだことわざ

今もよく使われる梨にちなんだことわざのひとつが「梨の礫(なしのつぶて)」。これは、連絡しても返事がないこと、また、音沙汰のないことのたとえです。「梨」に「無し」をかけています。「礫」は小石のことで、投げた小石のように戻ってこないことを表しています。

また、今は「梨園(りえん)」といえば歌舞伎役者の世界のことを指しますが、もともとは「劇壇」(演劇関係者の社会)を指します。これは、唐の玄宗皇帝が梨の木が植えてある庭園で、宮中音楽隊の殿上で演奏する者や舞踏をする者を養成した故事に基づきます。

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