りんごは一年中出回っていますが、やはり旬は秋。身近な果物ですが、りんごの生い立ちや栄養成分など意外と知らないこともありそうです。りんごの豆知識を集めてみました。
■りんごはどこから来たの?
りんごにはいくつかの原種がありますが、私たちが食べているりんごの原種は、中央アジアから西アジアの山岳地帯、コーカサス地方が原産だといわれています。その頃のりんごは、直径3cmぐらいの野生のりんごでした。コーカサス地方からヨーロッパへ、さらに17世紀には移民によってヨーロッパからアメリカへ伝わり、品種改良が進みました。
日本へは、平安時代に中国から伝わったといわれていますが、「和りんご」といって小さく甘みも少ないりんごでした。
りんごを漢字で「林檎」と書きますが、これは中国語からきています。「檎」は本来「禽」で「鳥」を表しており、りんごの林に鳥がたくさん集まったことから、「林檎(リンキンまたはリンゴン)」と呼ばれるようになり、それが転じて「りんご」となったといわれています。
■日本のりんご
現在のような大きくて甘いりんごが作られ始めたのは、明治時代になって国策によりヨーロッパやアメリカからの苗木が全国に配られてからです。
りんごは冷涼な気候での栽培に適しており、北海道の七重村(現・七飯町)で初栽培され、青森県や岩手県、長野県などに産地ができました。その後、中部地方や東北地方、北海道各地に栽培が広がり、日本人の味覚に合うよう品種改良が重ねられてきました。いまでは国内生産量の約9割が国産品種となっています。
■おいしいりんごとは?
・おいしいりんごの見分け方
①ツルが太く、ツル元が深くくぼんでいる、②全体に赤色が濃く、下の方まで赤く色づいている(黄色いりんごは、全体が黄色くなっている)もの、③中くらいの大きさで重みがあるものがおすすめです。
りんごの実の中にミツが入っていることがありますが、ミツ自体は、はちみつのように甘いものではありません。でも、ミツ入りは完熟した証拠で、実は甘くて果汁もたくさんあっておいしいですね。ミツ入りは、ふじや紅玉、北斗などによく見られます。
・おいしいりんごの保存方法
そのまま置いておくと水分が逃げてしまいます。保存するときはポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。そしてなるべく早くいただきましょう。カットしたりんごを保存するときは、すぐに塩水(あるいは砂糖水、レモン水、炭酸水、はちみつを入れた水)に浸けると変色を防げます。水からあげたらピッタリとラップをして冷蔵庫に入れてくださいね。
■りんごの栄養と健康
昔から「りんごが赤くなると医者が青くなる」「1日1個のりんごは医者を遠ざける」などといわれています。りんごには、腸内環境を整えるペクチンなどの食物繊維、塩分を排出し水分バランスを整え高血圧の予防に良いとされるカリウムなどのミネラル、疲労回復に役立つリンゴ酸やクエン酸、鉄分の吸収を高め貧血予防につながるビタミンC、抗酸化作用のあるポリフェノールなど私たちの健康に役立つ栄養素がたくさんが含まれています。
しかも、りんご1個は(可食部170g)は約97kcalと満腹感のわりに少ないのも、食いしん坊にはうれしいもの。また、皮をむかずに丸かじりすると、むし歯や歯肉炎の予防も期待できます。
■りんごの不思議な力
・りんごの油あがり
りんごは皮ごと食べるのが栄養的にも良いそうですが、なんだか表面がテカテカ、ベタベタしていて気になる、これってワックスでは?なんて思っている方はいませんか?実はこれ、りんご自身が出す天然の成分。「油あがり」といい、リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸が皮の表面に出てきたもので、りんごが完熟している証です。これによってりんごは自ら新鮮さを保っているのです。国産のりんごにはワックスなどはかかっていないので、安心して皮ごとガブリと食べてくださいね。
・エチレンガスの効果
りんごは成熟するときに、植物ホルモンの1種「エチレンガス」を発生します。ビニール袋にりんごと渋柿を入れて密封してみましょう。4~5日おくと渋柿が甘くなります。キウイフルーツが固いときもりんごといっしょにビニール袋に入れておくと柔らかく甘くなります。また、じゃがいもといっしょに入れておくと、じゃがいもの芽が出るのを抑えられます。機会があったら試してみてくださいね。
2020年10月14日