2024年09月28日

すだちとかぼす

秋の味覚、サンマの塩焼きに必ずといってよいほど添えられる青くて小さな「すだち」。香りが良くさわやかな酸味で、脂ののったサンマのおいしさが引き立ちますね。
同じような柑橘類に「かぼす」があります。それぞれどんな特徴があって、どのように使われているのでしょうか。

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■すだちとかぼすの見分け方
すだちもかぼすも貯蔵技術やハウス栽培の発展で通年出回っていますが、本来の旬は8月から10月。同じ頃に出回っているので「どっちがすだち?かぼす?」と悩むこともあるかもしれません。すだちとかぼすの見分け方を覚えておきましょう。

両方とも濃い緑色で表面がつやつやしていますが、わかりやすいのはサイズの違い。すだちはゴルフボールくらい、かぼすはテニスボールくらいの大きさです。
中の果肉は、すだちは緑がかった黄色で、かぼすは赤みのある黄色をしています。
そして、大きさや果肉の色の他にも、味や香り、産地など様々な違いがあります。

■小粒ながらもさわやかな香りで料理を引き立てる「すだち」
すだちは、徳島県特産の柑橘類。ゴルフボールくらいか、やや小さめのサイズで、重さは20〜40gくらい。小粒ながら強い酸味ときりっとしたさわやかな香りが特徴で、秋の味覚、松茸やサンマなど香りの強い食材にかけてもよく合い、味を引き立てます。
独特な香りは果汁よりも皮に含まれているので、皮をすりおろして料理に使えば香りのよい一品に。麺類のトッピングにしたり、お菓子の材料に混ぜたり、工夫次第です。

すだちは追熟するので、常温で時間がたつと黄色くなり、香りが弱くなってしまいます。選ぶときは皮の緑色が濃くて、張りやつやがあるものを選びましょう。

■果汁たっぷり、さまざまに味わえる「かぼす」
かぼすは大分県の特産品。大きさはすだちの3倍ほどで、重さは100~150gくらい。果汁もたっぷりなので、酢の物やドレッシング、ポン酢づくりにもおすすめです。
酸味のもとクエン酸を多く含んでいますが、甘みもあり、調和のとれた味わいとまろやかな香りが特徴です。お湯割りや炭酸割りで飲み物にも。サワーなどのお酒に入れてももちろんおいしくいただけます。実は熟すと黄色になりますが、すだちと同様に青玉のほうが香り豊かです。

■健康にも役立つすだち・かぼすの栄養
すだち・かぼすは、ともにビタミンCやクエン酸が豊富。クエン酸には疲労回復効果があるとされています。柑橘類の代表的な香りの成分であるリモネンも含まれ、ストレスを和らげるリラックス効果が期待されます。

また、かぼすには、ミネラルの一種で、ナトリウム排出作用があるカリウムも含まれています。すだちの皮にふくまれる「スダチチン」という栄養素は、近年、さまざまな健康効果研究がされている注目の成分です。

■「すだち」と「かぼす」名前の由来
すだちは、果汁が食酢として使われていたことから「酢橘(すたちばな)」と呼ばれ、やがて簡潔に「すだち」と呼ばれるようになったといわれます。

かぼすの別名は「カブス」「カブチ」といわれますが、これは橙(だいだい)の一種の古い呼び方でもあります。昔は柑橘類の皮をいぶして蚊の駆除に使っていたので「カイブシ(蚊燻し)」と呼ばれており、そこから「カブス」「カブチ」となり、「かぼす」に変化したのではないかといわれています。
そのほかにも皮を干すので「カハホス(皮干)」、蚊の毒の意味の「カブス(蚊附子)」からという説もあります。

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■すだち・かぼすの使い方
すだちは、焼き魚に大根おろしとともに添えたり、レモンのように唐揚げに添えたりするほかにも、最近注目されているすだちのスライスをたっぷりとのせたそばやうどんもおすすめです。冷たい麺はさわやかに、温かい麺でもさらに香りが引き立ちます。

かぼすもさまざまに使えますが、ぜひ試したい手作りかぼすポン酢をご紹介します。
かぼすの果汁:しょうゆ:酒:煮切ったみりんを、10:10:1:1の割合で混ぜ、昆布を入れて、2~3日つけ込めば出来上がりです。
(参考:大分県カボス振興協議会レシピより)

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