さつまいも

さつまいもの旬は9月~11月ですが、実は、さつまいもには旬が2回あります。収穫したての9月~11月だけでなく、収穫の後2ヶ月ほど貯蔵して、水分を飛ばすと甘さが増して、さらにおいしくなるからです。ずんぐりと太く、皮につやがあって色が濃く、実のよくしまったものが良質です。

さつまいもイメージ

さつまいもの特徴

さつまいもはヒルガオ科の植物で、メキシコを中心とした中米原産です。日本へは1597年に宮古島へ入ったのが最初といわれています。琉球を経て薩摩に伝わり、主に九州地方で栽培されるようになりました。一般に「薩摩芋」と呼ばれていますが、「唐芋」「琉球芋」「甘藷(かんしょ)」の名前もあります。
やせた土地でも育ち、たくさん穫れることから、江戸時代に青木昆陽が飢饉対策として普及させました。近年では戦中戦後の食糧難時代に、明けても暮れてもさつまいもを食べさせられたという方も多いでしょう。

さつまいもを「十三里」というのはなぜ?

さつまいもの食文化が花開いたのは江戸時代。京都に焼きいも屋さんが登場し、焼いたさつまいもが栗の味に似ていたので「栗(9里)にはやや及びませんが」という洒落で「八里半」と名付けました。その後、焼きいもは江戸に伝わり、小石川の焼きいも屋さんが「栗(9里)より(プラス4里)うまい13里」と洒落て「十三里」の看板を掲げました。これが江戸っ子にウケて大ヒット商品となり、「さつまいも=十三里」が定着しました。その後、「甘藷百珍」という本が出されるほど、さつまいもは人気の食材だったようです。
また、おいしいさつまいもの産地の川越が、江戸から十三里(約52km)のところにあるため「十三里」と呼ばれるようになった、という説もあります。
ちなみに「十三里」に引っ掛けて、旬にあたる10月13日が「さつまいもの日」。これは埼玉県川越市の「川越いも友の会」が定めました。

さつまいもの種類

皮が赤く、中身が黄色い品種が主流ですが、最近は、中身が赤っぽい品種も人気です。
紅あずま:皮は濃い赤、中身は濃い黄色で、繊維が少なく、甘みがある。料理素材としてもお菓子の材料としてもメジャーなさつまいも。
紫いも:中身が赤紫色のさつまいものことで、皮の色は紅・赤・白などがある。鮮やかな紫色は、今注目のポリフェノールの一種、アントシアニン。お菓子の素材として人気。
安納芋(あんのういも):種子島に昔から伝わり、鹿児島で生産されている品種。皮は赤褐色、中は淡い黄色で、加熱すると柔らかく、粘り気もあり、甘みが強い。
紅赤(べにあか):紅あずまと似た特性を持つ。焼きいも用によく使われる。
紅芋(べにいも):沖縄の特産物。肉質が赤や紫で、食物繊維、カルシウム、ポリフェノールの含有量が抜群に高い。

さつまいもの栄養

さつまいもは、でんぷん・糖分が主成分。でんぷんを麦芽糖に分解する糖化酵素も多く含んでいるため、蒸したり焼いたりする過程で多量の麦芽糖ができ、甘みが増えます。
また、食物繊維やビタミンCも豊富。皮の部分にはカルシウムも豊富なので、なるべく皮ごと食べるようにしたいものです。

さつまいもを食べるとオナラがでるのはなぜ?

腸内で消化しきれなかったでんぷんは、吸収されずに腸内細菌の栄養源となります。腸内細菌によって分解される時に腸内ガスが発生するので、たくさん食べるとゲップや胸やけ、そしてオナラが出たりするのです。

さつまいもの調理のポイント

さつまいもはアクが強く、空気に触れると変色するので、皮を厚めにむき、すぐに水にさらします。皮が黒い部分は、特にアクが強いので取り除きます。
皮のまわりは栄養が多いので、皮ごと加熱調理するのがおすすめ。さつまいもの皮といもの色のコントラストで、料理の彩りもアップします。
皮ごと使うときも、切ったさつまいもを水にさらし、2~3回水を取り替えて、アクを取り除くようにします。

「石焼きいも」を作ろう

さつまいもといえば、焼きいも。特に女性は好きな人が多いですよね。とりわけ屋台の石焼きいも屋さんの石焼きいもの味は格別です。最近はあまり屋台を見かけませんが、この石焼きいも、意外と簡単に自分で作れるそうです。

石焼きいもイメージ

【作り方】
中華鍋などの鉄製の鍋(テフロン加工はNG)か無水鍋に、小石を敷き詰めます。まず、15分ほど小石を加熱したあと、さつまいもをのせて蓋をし、弱火で40分ほど焼きます。火を止めてから20分ほど余熱で蒸らせば、石焼きいもの出来上がりです。

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