日本人の「ウニ」の消費量は世界一。特に生ウニはお寿司のネタとして好きな方も多いですね。ウニは、これからがおいしい旬の季節を迎えます。ウニの豆知識をご紹介します。
■ウニってどんな生物?
ウニは、棘皮(きょくひ)動物門に属しており、ヒトデやナマコ、ウミユリなどと同門です。
ウニは石灰質の固くて丸い殻を持ち、殻にはトゲがたくさんついています(トゲがない種類もあります)。内部には消化管と生殖巣があります。私たちがウニとして食べているのは生殖巣で、オスの場合は精巣、メスの場合は卵巣の部分に当たります。ですから、産卵期を控えた頃が一番実入りもよく、おいしくなります。産卵期は種類や産地によって多少違いますが、多くは8月から10月にかけてとされているので、旬の時期は6月から8月頃までということになります。
■ウニの種類と産地
日本の沿岸には100種類以上ものウニが生息しているといわれていますが、中には食べられない種類のものもあり、食用として主に流通しているのは「ムラサキウニ」や「バフンウニ」、「キタムラサキウニ」、「エゾバフンウニ」などです。漁獲量の約半数は北海道が占め、次いで岩手県、宮城県などが続きます。その他、ロシア産などの輸入に頼っています。
●ムラサキウニ
殻径5~6センチで、円形の殻に長いトゲが特徴です。ウニといって真っ先に思い浮かぶのは、ムラサキウニの姿かもしれません。本州から九州にかけて生息しています。トゲや表面は黒紫色ですが、日差しに照らされると紫色に見えるので、ムラサキウニと名付けられました。産卵期は5~8月。
●バフンウニ
殻径4センチ程度と小さく、トゲは細くて短く、全体的に黄褐色をしています。馬糞に似ているのでバフンウニです。可食部は1~2センチしかありませんが、鮮やかなオレンジ色をしています。北海道南部から九州にかけて生息しており、産卵期は1月~4月です。
●キタムラサキウニ
エゾバフンウニとともに国産のウニの代表格。可食部の色がエゾバフンウニなどに比べて薄いことから「白ウニ」とも呼ばれます。身体の色は黒に近い紫から暗褐色でトゲが長く、主な産地は北海道ですが、北陸から東北地方沿岸も産地となっています。石が多い海底や岩礁域に多く、昆布などの海藻類の他、動物の死骸などを食べています。産卵期はおおむね9~11月にかけてといわれており、自然保護のため産地によって漁期が決められています。
●エゾバフンウニ
エゾバフンウニは、可食部が鮮やかなオレンジ色をしていることから通称「赤ウニ」と呼ばれ、ウニの中でも高級品といわれています(別にアカウニという名前のウニもいます)。名前に「エゾ」と付くだけあって国内の漁獲のほとんどは北海道で、中でも利尻や羅臼産のものは昆布をエサとするため、濃厚な旨み・甘みがあります。見た目は、丸い饅頭型で全体に短いトゲで覆われています。身体の色は緑がかった褐色ですが微妙に色が違い、個体差があります。エゾバフンウニも資源保護のため産地によって漁期が設定されています。
■ウニは栄養たっぷり
ウニの色はカロテロイド色素によるもので、カロテンを豊富に含んでいます。カロテンは体内でビタミンAとなり、皮膚や粘膜の細胞を正常に保ったり、視覚の暗順応に関わったりします。ビタミンEも豊富で、血管を酸化から守り、血行を良くする働きがあるので「ウニのこたついらず」という言葉もあるほどです。
コレステロールを気にする方もいると思いますが、ウニのコレステロールは100g当たり290mg。確かに多いのですが、1回に食べる量が少ないので、食べ過ぎなければ大丈夫だといわれています。
■おいしいウニの食べ方
食べ方は色々ありますが、旬のウニは生が一番です。
身がきれいに板に並べられた「板ウニ」は、ミョウバンを使ってウニの粒が溶けないように処理されていますが、苦みなどが出てしまう場合もあります。
そこで、もう一つの保存方法として塩水処理があります。これは身を海水と同じ濃度の塩水に浸してパックしたもので、食べるときに塩水をしっかりきるとウニそのものの風味が楽しめます。
どちらにしても日持ちはしないので、手に入れたらなるべく早く新鮮なうちに味わいましょう。海鮮丼やウニ丼は定番中の定番ですが、やはりおいしいですね。
青森県の郷土料理の中では、少々の酒でさっと蒸し焼きにする「焼ウニ」や、ウニを潮汁仕立てにしてアワビと合わせる「いちご煮」などが有名です。
岩手県では、「ウニとアワビの炊き込みご飯」が三陸地方の祝い料理。ウニとアワビを煮て卵をかけてとじた「ウニのやまぶき煮」は、地元漁師や海女さんたちに古くから伝わる地元料理です。
また、生食の他、塩辛風の練りウニ、蒸しウニなどの加工品があり、練りウニは江戸時代から日本三大珍味といわれたそうです。
三大珍味とは、「ウニ」、「コノワタ」、「カラスミ」です。この「ウニ」は塩ウニのことで、「ウニ塩辛」ともいわれます。福井県で製造された「越前雲丹」が古くからよく知られていました。
ウニを漢字で書くと、塩漬けされた食用部分は「雲丹」。雲丹の「雲」とは「集まる」 ことを意味し、「丹」は「赤い」という意味があるそうです。海の生き物としてのウニは「海胆」「海栗」などと書かれるようです。
2019年06月25日