昔から、日本には夏に食べるとよいとされる食べ物があります。旬の夏野菜のほかに、昔の人はどのようなものを食べていたのでしょうか?
夏バテ予防には、やはり「鰻」です。鰻は滋養が高く、スタミナ補給を目的として、江戸時代から流行り出しました。
実は、鰻の旬は夏ではなく脂の乗りのよい冬。しかし、冬の鰻は脂が乗りすぎているのに対し、夏の鰻の方が適度に脂が乗っていて、おいしい食材だったそうです。江戸時代、鰻を流行らせたのは平賀源内だという説は有名ですね。
※鰻についてはこちらもご覧ください。 → 土用の丑の日・鰻の話
次は「甘酒」です。
実は甘酒は、日本書紀にも記述がある古墳時代からの飲み物。冬場のものと思われていますが、江戸時代には、手軽な栄養ドリンクとして親しまれていました。栄養豊富な甘酒は夏バテ防止になり、体力回復に効果的だとして、冷やしたものや熱したものを暑気払いに飲む習慣があり、江戸時代には夏の風物詩だったそうです。俳句では「甘酒」は夏の季語にもなっています。
甘酒には、必須アミノ酸やパントテン酸、ビタミンB1・B2・B6、ビオチミンなど必須ビタミン類が多く、米糀(こうじ)に由来する食物繊維やオリゴ糖も豊富。大量のブドウ糖が含まれているので、「飲む点滴」ともいわれています。
また、「酒」という名前は付きますが、米と麹で作られる甘酒はアルコール飲料ではないので、未成年者が飲んでも大丈夫です。のちに酒粕で作られるようになった甘酒は、アルコール分が含まれるので、アルコール飲料として扱われています。
江戸時代には涼を求めて、冷麦、そうめん、冷奴などを現在と変わらず食べていました。
「ひゃっこい、ひゃっこい」と叫びながら売りに来た「冷水(ひやみず)売り」から、水に白玉団子と砂糖を入れたものを買ったりしていたそうです。
また、上流階級ではかき氷も人気。大名や富裕な町人たちは、屋形船で夕涼みをしながら食事を楽しむこともあったそうで、風流ですね。