桜の原種は約10種類とされ、その原種の桜が交配し100種以上が野生化しています。このような野生種、自生種を「山桜」といいます。この「山桜」をもとに、さらに人の手で交配して作られた栽培品種、園芸品種を「里桜」といい、300種類以上もあります。
また、「八重桜」とは八重咲きの桜の総称です。
山桜(ヤマザクラ)
関東、中部から南の地域に分布しています。花と葉が同時に開き、花は薄いピンク色。古くから山に自生しており、昔のお花見は山桜を見ることでした。吉野山(奈良県)の山桜が有名です。
大山桜(オオヤマザクラ)
北海道の山地や本州の北の地域に分布しています。花と葉が同時に開き、花が大きく紅紫色なので、紅山桜とも呼ばれます。寒さに強く北海道に多いので、蝦夷山桜ともいいます。
霞桜(カスミザクラ)
北海道や本州、四国の山地などに分布します。花と葉が同時に開きます。白っぽい色をしているので霞がかかったようだとその名がつきました。花や葉に毛が生えていることから「ケヤマサクラ」とも呼ばれています。
大島桜(オオシマザクラ)
伊豆七島、伊豆半島に分布します。花と葉が同時に開き、花が大きく香りも良く、丈夫で成長が早いので、染井吉野など多くの里桜の母種になっています。桜餅を包む葉は、大島桜の葉を塩漬けにしたものです。
江戸彼岸桜 (エドヒガンザクラ)
本州・四国・九州の山地に分布します。花が咲いた後、葉が出ます。お彼岸の頃に開花するのでその名がつき、枝が長く垂れる「枝垂れ桜」は江戸彼岸桜の園芸品種です。
とても丈夫で長寿なので各地に巨木や名木があり、日本三大桜も江戸彼岸桜の系統で、いずれも国の天然記念物に指定されています。
★日本三大桜
・山高 神代桜(やまたか じんだいざくら)
山梨県北巨摩郡武川村。樹齢2000年以上。
・根尾谷 淡墨桜(ねおだに うすずみざくら)
岐阜県本巣市。樹齢1500年以上。
・三春 滝桜(みはる たきざくら)
福島県田村郡三春町。樹齢1000年以上。
染井吉野(ソメイヨシノ)
日本各地に植えられている代表的な桜です。江戸末期に染井村(東京都豊島区)の植木屋が作り出した品種で、当初「吉野桜」と名付けられ、後に「染井吉野」と改名されました。大島桜と江戸彼岸桜を交配させたものと推定されています。
十年ほどで立派な木に成長するため、明治時代に全国の学校、公園、沿道、河川沿いなどに次々と植えられ、主流となっていきました。
ただし、染井吉野は自力で繁殖できず、接ぎ木や挿し木で増やされたもの。そのため、同じ条件下で一斉に開花するので、統計をとったり、お花見をするには適していますが、近い将来寿命が来ると予想され、その対応が課題になっています。
豆桜(マメザクラ)
富士山・箱根・伊豆に分布します。花が咲いた後、葉が出ます。白から薄いピンク色の小さな花をたくさん咲かせます。花が小さく、挿し木でも育つので盆栽としても人気です。
緋寒桜(ヒカンザクラ)
台湾、中国南部原産で沖縄の各地に野生化しています。早春の寒い頃から開花し、花が咲いた後、葉が出ます。濃いピンク色をした花が、釣鐘のように垂れ下がって咲き、花びらがくっついたまま落花します。
彼岸桜(ヒガンザクラ)と間違えやすいため、寒緋桜(カンヒザクラ)とも呼ばれます。
河津桜(カワヅザクラ)
静岡県河津町で発見されたことに由来。花が大きく、花が咲いた後、葉が出ます。大島桜と緋寒桜の自然交配種で、1月下旬から2月上旬ぐらいに咲き出し、およそ1か月咲いています。河津町では川沿いに多数増殖され観光名所となっています。