現代の暦は太陽の動きにもとづいていますが、それまでは月の満ち欠けによる暦でした。月を目安に時を知り、月明りを頼りに暮らすなど、月は生活の礎だったのです。
※新暦と旧暦についてはこちらをご覧ください。 → 季節のめぐりと暦
天空に輝く月の姿・形に魅せられた先人たちは、季節や風情に思いを馳せ、様々な名前をつけてきました。
月の名前を知って月を眺めると、その美しさもまた、ひときわ冴えて見えますよ。
さて、今宵の月はどんなふうに見えますか...
周期的に満ちては欠ける月。様々な表情をみせる月には、出てくる月の気持ちになったり、待ちくたびれる人の気持ちになったりと、洒落た名前がつけられています。
【十六夜】
「十六夜」と書いて「いざよい」と読みます。まん丸の満月十五夜は、月が太陽の反対側に来て、が輝きます。この月は日没とともに東の空に昇り、明け方には西の空に沈みます。これ以降は月の出がおよそ50分ずつ遅くなっていくので、16日目は、月が出てくるのをいざよう(ためらっている)ようだとして「十六夜」
【立待月】(たちまちづき)
17日目は、さらに月の出が遅くなり、まだかまだかと立って待つから「立待月」
【居待月】(いまちづき)
18日目は、待ちくたびれて座ってしまうので「居待月」
【寝待月】(ねまちづき)
19日目は、もう床に入って待つから「寝待月」
【更待月】(さらまちづき)
20日目は、夜も更ける頃なので「更待月」。
【有明月】(ありあけづき)
26日目は、夜明け(有明)の空に昇るから「有明月」。
「有明月」は16日目以降の月の総称でもあります。
このほかにも様々な名前がついていて、月に寄せる思いが伝わってきます。
たくさんある中から、いくつかご紹介します。
季節
・春月(しゅんげつ)、夏月(かげつ)、秋月(しゅうげつ)、冬月(とうげつ)
春夏秋冬それぞれの月。
・朧月(おぼろづき)
かすかに霞んだ月。春の季語。
・寒月(かんげつ)
冷たく冴えてみえる月。冬の季語。
気象・天候
・雨月(うげつ)
雨の夜の月。十五夜が雨で見えないときもいう。
・無月(むげつ)
十五夜が曇りで見えないとき。
・薄月(うすづき)
薄雲のかかった月。
月の見え方
・孤月(こげつ)
寂しげにみえる月。
・淡月(たんげつ)
光の淡い月。
・青月(せいげつ)
青く輝く月。
・明月(めいげつ)、朗月(ろうげつ)、皓月(こうげつ)、素月(そげつ)
清く澄んだ月。
時間の推移
・夕月(ゆうづき)
夕方にみえる月。
・黄昏月(たそがれづき)
黄昏時の月。
・残月(ざんげつ)、有明の月、朝行く月
夜明けにまだ残っている月。
風情をあらわす月の名前は、ひとつの正解があるわけではありません。感性を大切にして月を眺め、自分の気持ちにふさわしい名前をつけてみるもの面白いですね。