日本には、子どもが健やかに育って欲しいという願いや、無事に成長したことへの感謝を表す、節目の行事や習わしがあります。季節だけでなく人生でも節目を大事にする日本人らしい習慣です。
おなかの赤ちゃんが安定期に入る妊娠5か月目の戌の日(いぬのひ)に、岩田帯(いわたおび)と呼ばれる腹帯を巻きます。
犬が多産で、お産が軽いことにあやかった安産祈願の行事です。
岩田帯は、2メートル以上の長さの木綿を半分の幅に二つ折りにして巻きます。七五三にちなんで7尺5寸3分の長さ(約230センチ)を伝承している地域もあります。
【お祝いのマナー】
岩田帯を妊婦の実家から贈るのが一般的です。
今は実用的なマタニティガードルを贈ることも多いです。
赤ちゃんが生まれて7日目の夜をお七夜といいます。名前を決め、名前を書いた紙を神棚や床の間の柱に飾り、夫婦と両家の両親が集まって出生を祝います。
本来、命名書は命名した人が書きます。一般的には、市販の命名紙や半紙などの中央に赤ちゃんの名前を大きく書き、上に「命名」、左側に生年月日、右側に両親の名前と、長男、長女など続柄を入れます。
【お祝いのマナー】
赤飯や鯛の尾頭付き、ケーキなど祝い膳に乗せられるものを贈るか、「祝お七夜」として現金を贈ります。
土地の守り神に初めてお参りする行事で、「産土詣」(うぶすなもうで)「産土参り」といわれます。生まれた子を連れてその土地を守る氏神様に報告し、健やかな成長を祈ります。今では、地元にこだわらず、有名神社を参拝する人も増えています。
一般的に、男の子は生後31、32日目、女の子は32、33日目とされますが、地方によっては、生後50日目や100日目などとするところもあります。
【お祝いのマナー】
出産祝いを贈っている場合は、お宮参りのお祝いは省略してもかまいません。逆に、出産祝いをいただいた場合は、このころに「内祝い」をお返しします。
生後100日目の子どもに、食べものを食べさせるまねごとをする儀式です。「箸初め」などともいい、一生食べ物に困らないようにという願いが込められています。料理は赤飯、尾頭付きの鯛などが主ですが、地方によっては郷土色豊かなお祝い膳のところもあるようです。
正式には「養い親」が箸をとり、食べさせるまねをします。「養い親」は「長寿にあやかる」という意味で祖父母や親戚の中の長寿の人で、男の子なら男性に、女の子なら女性に頼みます。しかし、現代ではこれにこだわる必要はありません。
まず、鯛などの食べ物を口にもっていき食べさせるまねをします。そして、氏神様の境内から拾ってきた小石3個を歯ぐきに触れさせ、丈夫な歯が生えるようにお願いします。
【お祝いのマナー】
離乳食用の食器やエプロンなどを贈ると喜ばれます。
満1歳の誕生日を両家が集まって祝います。
この日に一升の餅をつき丸餅にして、その餅をふろしきなどに包んで赤ちゃんに背負わせたり、踏ませたりするところもあります。これを、「一升(一生)餅」、「誕生餅」、「力餅」などと呼び、赤ちゃんが力強く育つように、一生食べ物に困らないようにという願いが込められています。
【お祝いのマナー】
ベビー服などの実用品を贈るのが一般的です。お返しは特に必要ありませんが、地方によってはお赤飯を配るところもあります。
初めて迎えるお節供のお祝いです。五節供のうち女の子は3月3日の桃の節供、男の子は5月5日の菖蒲の節供を祝うのが一般的です。
3月3日の桃の節供(上巳)は、春を迎えたことを喜び、女の子の無病息災を願う厄祓い行事です。5月5日の菖蒲の節供(端午)は、男の子が強く逞しく成長して立身出世することを願う行事です。まだ、生後2か月ぐらいなら翌年に持ち越してもかまいません。
【お祝いのマナー】
祖父母がひな飾りや五月人形を贈ることが多いです。お返しはお祝い膳でします。
成長の節目として、3歳、5歳、7歳を祝う行事です。一般的には、男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳でお祝いします。
※七五三について詳しくはこちらをご覧ください。 → 七五三
旧暦3月13日、現在は4月13日に数え年13歳に成長した子どもを連れて「虚空蔵菩薩」(こくぞうぼさつ)にお詣りをし、おとなになるのに必要な知恵を授けてもらい、厄祓いする行事です。「知恵もらい」「知恵詣で」ともいいます。
※十三詣りについて詳しくはこちらをご覧ください。 → 十三詣り
法律上でも一人前の大人として認められ、成人の仲間入りをすることをお祝いする行事です。明治29年に制定された民法により、日本の成年年齢(民法では成人ではなく成年となります)は20歳とされてきましたが、2022年4月1日から18歳に引き下げられました。
各自治体では1月の第2月曜日の「成人の日」に、今まで通り20歳の若者を対象に、成人式にあたる「二十歳(はたち)の集い」を開催しているところが多いようです。
「冠婚葬祭」ということばの「冠」が成人式にあたります。武家社会では「元服」といって、男の子は15歳で髪型や服装を子ども用から大人用へと改め、女の子も「髪上げ」といって13歳前後に大人の髪型にしました。
かつて元服が小正月にあたる1月15日に行われていたことから、1月15日に国民の祝日「成人の日」が制定され、成人式も1月15日に行われていましたが、2000年にハッピーマンデー制度で改定され、「成人の日」は1月の第2月曜日ということになりました。
【お祝いのマナー】
5,000円~20,000円くらいの現金や腕時計など、社会人らしいものを身内が贈ります。いただいたら本人がお礼状を書き、大人の証を示します。
古くからの習わしとは別に、入学、進学、卒業など子どもが成人するまでは、多くの節目があります。子どもの成長の証として、一つ一つの節目を大切に祝ってあげたいですね。