今も昔も日本人は季節に寄り添いながら暮らしています。
ほかにも四季のある国はたくさんありますが、緯度や経度によって状況は異なるため、四季折々の情景や季節感は、日本の風土によって生まれたものです。

では、日本人の季節感が称賛されることが多いのはなぜでしょう?
それは、日本人の繊細な感覚により、四季折々に豊かな文化を生み出しているからかもしれません。私たちは、暑い寒いといった皮膚感覚にとどまらず、花鳥風月をめでるなど季節の風情を大切にしています。幼いころから自然に親しみ、季節を愉しむすべを会得しているのです。

桜が咲くと春が来た喜びを感じ、祭りばやしに心躍らせ、旬の味覚に舌鼓を打つ。夏の日差しにじりじりと焼かれ、冬の寒さに襟を立てる。なにげなく、五感で感じているものが、実は季節であり、歳時記のひとつなのです。

季節とともにめぐる歳時記は、今も昔も暮らしを豊かにするツール。
歳時記のもとになる暦は、この季節の移り変わりの目安として編み出されたものです。暦の中に二十四節気や七十二候、雑節といった季節の目安が設けられ、季節感を共有しているのも大きなポイントで、節分や立春といったお馴染みのものごとも、季節と暦の関係からきています。

暦を知ることで、季節のめぐりがよくわかります。
自分が育つ環境を知ることは、自分を育てる近道といえるでしょう。